心臓の奥のところにあるもの ページ4
勢いで連れて帰って来てしまったけど、我ながらとんでもないことをしてしまった気分になってきた。
固く握っていた手を緩めると後ろから「あ、猫ちゃん本当にいるんですね」と声が聞こえて後ろを見ると近寄ってきた猫を抱き上げていた。
それを見ていると、何だか気が抜けた。
俺は猫とじゃれてる彼女をそのままに部屋にあがるとポットにお湯を沸かし始めた。
「あがれば？」
「あ、お邪魔します」
靴を揃えるあたりに育ちの良さを感じる。
あまり踏み込んだプライベートな話題は、さすがに今日は聞かない方が良さそうやな……話したいなら聞くけど。
「何もないけど、お茶かココアくらいならあるけど飲む？」
「そんな、大丈夫です、お構いなく」
「……どっち？はやく」
「あっ、えっと、コ、ココア頂けますか」
「ん」
マグカップを渡すとフローリングに座っている彼女をソファに座るよう促した。
そこまで詳しいことまで話させる気はなかったけど、どうしても聞いとかなきゃならんことがあった。
隣に腰掛けて彼女の方に顔を向けると不思議そうな顔でこちらを見上げてきた。
「名前は？」
「……1週間前からAAです」
名前聞きたかっただけなのに、ちょっとミスったな。
「俺の動画見てんの？」
「見てます、TOP4の皆さんと最俺さんの動画よく見てます」
「そう……」
視聴者を家に連れ込むってやっぱりちょっとまずいかな、でも視聴者だから、俺のこと好きだから、とかそんな理由があるわけじゃないからいいだろうと自分で自分を肯定した。
「Aさんは、死にたいの？」
ココアをふーふーしながら飲んでいたAさんは前にある机にコトとマグカップを置くと俺に向き直った。
「死にたいって言ったら殺してくれますか？」
またこの顔だ。
感情と一致してない笑顔。
この笑顔は苦手だ。
俺は怪訝な表情を向けるとはぁと大きく溜息を吐いた。
「殺さん、自 殺も許さん」
「そうですか」
落胆にも似た態度でもまだ笑顔は崩していなかった。
「でもどうしても死にたくなったら俺が殺してやる、けど、今日はだめ」
Aさんは目を見開くと俺の言葉の続きを待っているようだった。
「俺は性格悪いからAさんが死にたくないって思った時に殺す」
「なんですか、それ」
やっとちゃんとした顔で笑ったAさんに心臓のあたりがぽわっと温かくなった。
「？」
なんやっけ、これ。
「まあ、寝れないなら好きなだけ話してええよ、付き合うから、いつまでも」
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
