真っ直ぐな瞳 ページ14
エントランスを抜けると「そんなに急いでどうした？」と今さっき帰ったばかりのうっしーがいた。
言いたいことがあるのは雰囲気でわかってた。
あの2人とは違って何か言いた気だったけど、空気を読むことを優先してたもんな。
俺は手に持ってた鞄をゆっくり背負った。
「……どしたん？」
「わかってるくせに」
うっしーは悲痛な顔をしていた。
こんなこと本当は言いたくない、言わなくたってわかるだろ？言わせんなとでも言いたそうな顔。
はぁ、こんな真夏の夜の匂いは独特で好き。
その空気を胸いっぱい吸い込んで吐き出す。
「言って」
確かに顔が可愛い、一目惚れってこういうことかな、なんて最初は思ってた。
目の前のこの子を見殺しに出来ない、それも本当のことやし。
もう何年も恋なんてしてないから、ジェットコースター理論的なそんな感じの、勘違い的なやつ。
名前は忘れたけど、限られた空間で一緒にいたら好きになるやつ。
そんなんでもいいかな、毎日あの子と過ごす内に考えていたりもした。
「じゃあ、言うけど……」
だから、そんな感情があるかもしれないなんてことには目を瞑ってた。
「同情じゃ救われないよ、彼女も」
うっしーは1歩俺に近付いて俺の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「お前が一番」
あんな風に大好きな人を亡くす気持ち、俺には正直わからない。
当事者じゃなきゃそんなんわかるはずないやろ。
あの子の涙の重さ、想いを1mmもズレずに俺が感じ取れることなんて絶対ありえんし。
だけど、俺が寄り添うことで少しでもあの子の救いになればって、この感情が果たしてどっちかなんて俺には答えが出せずにいた。
決して、
「同情と愛情勘違いすんな」
同情なんかじゃないって思いたかった。
その内になぜかうっしーが号泣し始めた。
うわ、熱っと言いながら笑いながら肩を摩った。
俺はこの夜だけで10回以上はうっしーに御礼を言った。
……それしか言えなかったからやけど。
「おかえりなさい」
家に帰ると、あの日、初めて会った時のAちゃんからしたら考えられないような笑顔で出迎えられて、情について考えていた俺は拍子抜けした。
「……元気やね」
「そうですか？いつも通りですけど……」
少し目の下をきゅっと触ってから「ふふ」と微笑んたAちゃんを見て思う。
例えこの気持ちが同情だとしてもこの笑顔を作り出せた俺に免じて今だけは、Likeでもいいから、「好き」って想った気持ちを許して欲しい。
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
