よりにもよってその部屋かよ ページ34
「ゆっくり息して大丈夫だから、ね？」
そう言うと俺に目で合図してきた。
その合図に従うようにAの隣にしゃがみこんだ。
Aの「吸って、ゆっくり吐いて」のタイミングに合わせて呼吸を何度か行うと落ち着いてきたみたいだった。
「俺、必要だった？」
「必要です！ほら、おんぶしてあげてください」
「は？！俺が！？」
「わたしが出来るわけないでしょう！？」
まだ少し意識が朦朧としてるその女の顔をまじまじと見る。
あ……れ？
こいつもしかして……
「どうかしましたか？」
「いや……どこ連れてくの？」
「ご家族とかにご連絡したいですが、休ませてあげないとなのでとりあえずホテルに……」
わかった、と頷くと少し考えてから横抱きをした。
太股を触るのも胸が背中に当たるのも今のこの状況は仕方のないことだけどレトさんに悪い気がしておんぶは出来なかった。
彼女の鞄を持ちながら前を歩いていたAは振り返り俺の様子を確認するとギョッとした顔をしていた。
「な、なに王子様みたいなことしてんですか！？」
「あれ？やきもち？」
ニヤニヤしながらAの横に並ぶと「こんな状況でそんなことしません」とぷんっと横を向いてしまった。
ってことはこんな状況でなければ妬いてくれんの？と言おうとしたけどAは電話で部屋の確認を取り始めてしまった。
「階段登れます？無理だったら裏口からでも平気です」
居酒屋は階段側の正面にある。
彼女がどんな経由でここにいんのかは知んねーけど見つかりたくない理由があるとするなら正面側はリスクが高い。
「……裏口でもいい？」
「はい、駐車場側なのでこっちです〕
Aの車に乗った時にもここから出たから案内して貰わなくても道はわかったけど丁寧に道を先行してくれた。
横抱きにして良かった点はAが妬いてくれる可能性が出たのもあったけど、Aがしきりに彼女に声をかけてまだ整い切ってない呼吸を安定させてくれた点もあった。
おんぶでも出来ただろうけど体勢的に横になってる方が効果的の様な気がした。
フロントで鍵を受け取ったAはそのままフロントの階にある部屋へ向かった。
「こ、ここです」
「……201か」
部屋番号を俺が口にするとAが泣きそうな顔になったような気がした。
いま、こんな状況じゃなければ今すぐ抱きしめて俺の気持ちを、Aの気持ちを、擦り合わせたいのに、それは叶わない。
鍵を開けてくれたAの横を通り過ぎてベッドに彼女を横たわらせた。
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
