きみ推しアイドル/uszw ページ14
うっしーはお手振りをやめて少しわたしを見つめたまま立ち台の上でしゃがみこんで視線を合わせてきた。
そして、ゆっくりピースマークを作るとわたしの人差し指と中指にそれをふわっと触れさせ、ニヤッと口角をあげて笑っていた。
正直その後の記憶があまりない。
いや、間違えた、その後もその前の記憶もあやふやになってしまった。
涙でぐちゃぐちゃになってしまい、規制退場もないしゆっくり帰ろうとハンドタオルで目を抑えていた。
どれくらいそうしていただろう。
「退場してください」
そう言う男の人の声が聞こえて警備員さんだ!と思って「すみません」と焦った声を出して立ち上がると何と目の前にキヨとレトルトがいた。
「えっ……はぁ!?」
推しのファンサだけでパニック状態に陥っていたのに目の前の状況が飲み込めなくて「何、なさっておられるんですか!?」と変な敬語になってしまった。
キヨはぶはっと吹き出して「何その敬語」と笑っていて、レトルトはわたしの顔をじろじろと見てきた。
暫くわたしを見た後「合ってる?」とキヨに何やら確認した。
キヨは「合ってる、合ってる」と言ってからわたしの腕をグッと掴んだ。
「はい?!何するんですか?!」
「ちょっと俺らさ〜、差し入れ買ってくんの忘れちったんだよね」
引っ張りながら説明しだしたキヨの横で歩いてるレトルトは「だから最高の差し入れをあげんねんな」とキヨくんと笑い合っていた。
関係者入口のドアをどんどん突破して行き、何も書いてない部屋の前に到着した。
「それでは、差し入れになってね」
「うまくやれよ」
何をだよ?!と思ったけど言えずにいると、
「「じゃーね、うっしーのオキニちゃん、また今度」」
重なった2人の声と共に開けられたドアに投げ入れられた。
「……大丈夫?」
低音だけど心地の良い声が頭上から降ってきて見上げると大きな手を差し伸べてきたうっしーが眉を下げて柔らかく笑っていた。
ぶわっと涙が流れ出しながらも差し伸べられた手に遠慮がちに自分の手を添えるとグッと力強く引き寄せられた。
「夢……ですか?」
うっしーは屈託のない笑顔になると、
「残念、現実でしたぁ」
そう言って滴る涙を人差し指で掬ってくれた。
「最高の差し入れだから俺らにも何かくれるべきじゃない?」
「俺は結構前にもう貰っちゃってるから別にええけどね」
「そうやって2人だけずっる、俺にもオキニちゃんくれよ」
「まぁ、その内、機会あったらな」
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luco(プロフ) - かりんさん» かりん様、温かいコメントありがとうございます!gtさんのお話はなかなか慣れないのですが読みたい方がいらっしゃるので今回頑張りました!次回作も最後の方に出すつもりなので楽しみにして下さると嬉しいです! (2019年8月6日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませてもらっていました。gtさん大好きなので今回gtさんのお話が沢山あってとても嬉しかったです!次回作も読ませていただきます! (2019年8月6日 0時) (レス) id: e9726304d4 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - りんご様、完結おめでとうのお言葉ありがとうございます!ドルオタなのでドルパロが大好きなもので.......お褒め下さり嬉しいです!頑張ります! (2019年8月5日 21時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - こんばんは!完結おめでとうございます!ドルパロ良いですね!長編が楽しみです!頑張ってください! (2019年8月5日 21時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - りんごさん» りんご様こんにちは!同担様でしたか!中々同士様がいらっしゃらないので嬉しいです。新作もお読み頂けてありがとうございます(*¨*)例に漏れずドルパロでしたがお褒め下さり嬉しいです。 (2019年7月29日 18時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:luco | 作成日時:2019年5月18日 5時