【実l況l者】きみを振り向かせる正解は【ky】

Last teacher ページ46

大学は無事に合格した。
当日は電車に乗る前の駅のホームで合格確認出来て大号泣して電車の車掌さんに心配された。
ママとキヨ先生と望月さんに電話で報告してから泣きながら学校に行って先生に報告した。
まだ学校ではセンター試験の友達がたくさんいるから仲の良い専門組のフジくんと愛菜にだけ報告した。

受験は問題なく終わって気が抜けるはずなのに、キヨ先生との授業の最終日がクリスマスになってしまったお陰で逆に気が張ってしまった。
しかもキヨ先生の塾講のバイトもその日で終わりらしい。
就活の話は何も聞いてないけど、辞めるってことは就職先も決まってるんだろう。
ここで再会出来たのでさえ奇跡だと思ってる。
全て終わった後にこのまま別れてしまったらもう二度と会えない気がする。
でも、でもクリスマスに話があるなんて言ったらもうそれじゃん……そういう話じゃん。
さすがにお互い何となくわかってる間柄ならまだしもキヨ先生は未だにわたしが好きなこと絶対に気付いてない。
話あるからって言ったって「話ぃ？ここで話せねーの？」とかデリカシーのない言葉投げかけてくるに違いない。
あっ、すごい想像出来る。

そんなことを悶々と考えていたらあっという間に期末も終わって最終回の授業のテスト見直し回の2日前になってしまった。

「キヨ先生」
「あ？」
「クリスマスの日は……打ち上げとか……あるんですか？」

伏し目がちに聞くと「別にねえけど」と言いながらわたしへの授業最後の小テストを作る為に紙にペンを走らせていた。

「あ、あのっ、最後の御礼したいのでわたしとお話してくれますか？」

言った、言えた、家で何億回とリピートしたのを頭の中で反芻してそのまま言葉に乗せた。

何も言わずにゆっくりと顔を上げたキヨ先生と目が合ってドキッと心臓が高鳴る。
キヨ先生はそんなわたしを見ると口角をニヤッとあげてわざとらしく頬杖を付き始めた。

「そんなに俺に感謝してんの？」
「さすがにしてるよ」
「ふ〜ん、いいよ」
「……いいの？！」
「何、いいけど」

サラッとOKを出されてこっちが拍子抜けしてしまう。
席を立ってコピーをしに行ったキヨ先生を見送ってニヤつく顔を手で押さえた。
嬉しい表情を隠すように下を向いていたら「最後だからな」と付け加えてキヨ先生が戻って来た。

「最後だから、話してやるよ」

最後と言う言葉にチリと焼けるように胸が痛くなった。

「ありがとうございます」

出てきそうな涙を我慢してニッコリ笑い返した。

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