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小瀧さんに誘われた。スープカレー以来だ。
あの時は自分の気持ちを自覚してなかったけど、
意識してしまえば話は別だ。
デート、って思っていいのかな。
いや、お礼って言ってたし、仕事の延長ってことだよね…
どういうマインドで行ったらいいのか分からない!
もやもやしているうちに、事務所に着いてしまった。
「戻りました〜」
「お帰りゆりちゃん。」
経理デスクの今井様に出迎えられる。
このふわふわした気持ちを落ち着かせるために、今井様に話を聞いてもらおう。
「それってデートじゃん!」
「そうなんですかね〜〜」
「好きな人と2人っきりで会うんだから、
向こうの意図はどうあれ、素直に喜べ!」
そっか…喜んでいいんだ。うわあ。
「ていうか、わたし小瀧さんをその…好きになったなんて、言いましたっけ」
女子会で、恋が始まりそうね〜なんて話はしたけど。
「見てればわかるよ。ゆりちゃんいつもと違うもん。
恋をすると、仕事にも張り合いが出るなんてね〜!」
「やめてー」
「照れんな照れんな〜〜」
語尾に音符マークが付きそうなテンションでいじってくるから、小っ恥ずかしい。
そこへ書類の 束をもった桐山さんが輪に加わる。
「今井様、請求書の検印終わったでー。
なになになに?女の子2人して何盛り上がってんの?」
「桐山くんにはおしえなーい」
「ヒドイっ。照子も話に入れてくれてええやないのっ」
「あはははっ!」
3人でわちゃわちゃしていると、スマホがピロンッと音を立ててメールの受信を知らせた。
“新聞社の考察OKでしたーー!最終の修正お願いします!”
スマホでのやり取りは、PCメールよりもくだけてる。
わたしもちょっとくだけて返信した。
“よかった〜〜了解です!”
送信する前に、一瞬考えて、一文付け加えた。
“打ち上げ、たのしみにしてます”
デスクのスマホスタンドに戻して、仕事に戻った。
スマホには、あの日の着信履歴が残っている。
電話帳登録されていない、数字だけの文字列。
流星のその痕跡は、消去も登録もできないままでいる。
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます!応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです! 応援してます! (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年7月8日 18時