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「や、えと、それは…」
「すいません、それについては釈明してなかったすね。」
わたしから、口に出すつもりじゃなかった。
でも、二人で飲みに行ったのが、もうずいぶん前のことみたいに感じられて。
小瀧さんのなかでは、なかったことになっているのではないか、そんな不安がよぎったのだ。
「酔った勢いでキスするんやって、思いました…？」
「…ちょっと、思いました。」
正直な感想を述べると、薄暗い倉庫の照明に、小瀧さんの目がきらりとゆらめいた。気がした。
わたしに真正面に向き直って視線を合わせられるから、目が離せなくなる。
小瀧さんの視線から逃れたくて、思わず後ずさりしてしまう。
「あの、そのことはもう、気にしてませんから…」
「嫌や。気にしてください。」
そうしている間にも小瀧さんが距離を詰めてきて、ついに背中が棚にぶつかった。
あ、あれぇ…？
「…ぶっちゃけ今でも、やり直したいぐらいす。」
＿＿やり直すって、なにを…
「ゆりさん」
まて、最近、こういうの 多いぞ。
距離が詰まる。
あぁ。
＿＿＿ちゅ
可愛らしい音とともに、前髪越しのおでこに軽い感触。
俯いていた顔を上げると、小瀧さんがすばやく距離感を元に戻したところだった。
「待つって決めたものの、ゆりさん焦らすんやもん。
いじわるもしたくなるわ。」
むぅ、とむくれた様子の小瀧さんに、毒気がぬける。
焦らしているつもりは、ないのだが…
「…なんか、すいません」
「俺がほしいのは、謝罪やなくてゆりさんの気持ちなんやけどなー」
わたしだって、気になる人から想いをよせられて、もっとウキウキするものかと疑わなかった。
だけど、告白されたのに即答できなかったことが、ずっと胸に引っかかってるんだ。
「…そんな難しい顔、せんでください。」
いつのまにかしわを寄せていたわたしの眉間をつんと指でつついて、小瀧さんがきびすを返す。
「さ、いきましょか！」
折りたたんだ台車を持って倉庫を出て行く小瀧さんの背中を追う。
小瀧さんがどんな顔をしているのか、確認しそびれてしまった。
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます！応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (
レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです！ 応援してます！ (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年7月8日 18時
