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第22話 ページ33






今日は“mean”の陳列用の什器を納品する日。



軽バンの荷台にダンボール箱をいくつか乗っけて、搬入の準備をする。




「納品いってきまーす」



「ゆりちゃん、いってらっしゃい!」



デスクから見送ってくれた今井様が、両手で握りこぶしをつくって「がんばれ」のジェスチャーをしている。



がんばれというのは、おそらくあれだろう。


小瀧さんがお土産を持ってJワークスを訪れて以来、直に会ってなかったから。


電話やメールでのやり取りはずっとあったけど、ここ最近は顔を合わせての 打ち合わせはめっきり減っていた。


それだけ“mean”の発売が近いのだ。



発売日は、8月1日。



若干苦笑いで、弱々しく拳をつくって今井様に返した。








「Jワークスです。納品に伺いました。」



車から荷物を降ろして台車で受付まで運ぶ。

いつもの田村さんが笑顔で出迎えてくれた。



「こんにちは、梁さん。

いま小瀧くん呼ぶから、ちょっと待っててね。」



「ハイっ。」





なんか緊張する…


気持ちを整える暇もなく、すぐに小瀧さんが現れた。




「ゆりさんっっ」



「あ、お、お世話になります」




以前と違い、わたしを下の名前で呼んだ小瀧さんに、受付の二人が色めき立った。



ここの受付のみなさんは、わたしたちの進展具合を面白がっている節がある。



田村さんには、話そびれちゃってるんだよなぁ…


ここまでの、なんやかんや。




告白されたこととか、


キス、されちゃったこととか…




思い出していると改めて恥ずかしくなってきて、また小瀧さんの顔をまともに見れなくなる。


いや、でも、わたしはこの人と、ちゃんと向き合わねばならない。




「什器お持ちしました。確認お願いします。」



「ありがとうございます。じゃあ営業部の倉庫にお願いします。」




小瀧さんに言われて、倉庫に案内される。


ゴロゴロと台車を押してあとについていった。





「えーと、独立式の5基ですね。」


二人で荷物を台車から倉庫に格納して、納品書に小瀧さんのサインをもらう。


倉庫には二人きりで、いやに緊張しているわたしとは対照的に小瀧さんは飄々としている。




居心地が悪いのは、わたしだけだろうか。なんて、ちょっと悔しい。




「…なんか、小瀧さん、普通ですね」



「…“好きって言ってくれるまで頑張る”って言ったことですか?」



「それも、ですけど…」



「…キスしちゃったこと?」





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設定タグ:ジャニーズWEST , 小瀧望 , 藤井流星   
作品ジャンル:恋愛
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます!応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです! 応援してます! (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Lucio | 作成日時:2019年7月8日 18時

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