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「_というわけで、二週間後の掲載に間に合わせたいんです…」
「…お、大きいですねぇ…」
あの後、打ち合わせのためにすぐにJワークスさんの事務所を訪れた。
打ち合わせはいつもウチでだったけど、さすがに急だし来てもらうのは悪いと思って。
コーヒーを出してくれた事務職らしき女性は、俺の顔を見て何故かニヤニヤしていた…
「社長が、急に大型の紙面を出すって言い出したみたいで…」
「ということは、校正は社長さんもチェックなさるんですよね?」
いつも飄々とした梁さんの顔も、流石に強張っている。
ウチの社長の「できるだけ早く」とは、言葉の通りの「遅滞なく行え」という意味ではない。
梁さんも、それは今までの経験で痛いほどよくわかっているみたいだ。
どないしよ、急に弱気になってきた。
「や、やっぱ、二週間後なんて今からやと無理ですよね!?」
「でも…やるって言われたら、粛々とやんなきゃしょうがないですよね」
うちら、サラリーマンなんだし。なんて言って、笑ってる、梁さん。
「じゃあサムネ書いてラフに起こして…いやそんな時間ないな…」
淡いピンクのスケジュール帳を眺めながら
顎に手を当ててぶつぶつと呟くその顔はとても真剣で。
諦めモードだったのは、俺たちの方だったのかも。
「時間もないんで、初校レベルのカンプ上げます。
タイプのちがうのいくつか出してみるので、
ハマるのがあればそれで一気に畳み掛けましょう。
小瀧さんは、素材集めてもらっていいですか?」
「はい!梁さん…ありがとうございます。」
「とんでもないです!
一緒に切り抜けましょう。小瀧さん。」
でもマーケさんってほんと、大変ですねえ、なんて言って、口元に笑みをうかべてる。
どこまでも健気で、プロで、強靭なあなたと、
いつか自信を持って、肩を並べたいな。そう思った。
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「じゃあ、ありがとうございました、失礼します」
「はい、ありがとうございました」
そう言って応接室を出る。
制作室の前を通りかかると、梁さんの仕事場が目に入った。
デスクには、同じくデザイナーだろう3人の男性。
中には俺と同じくらいか、年下らしき人もいる。
この人たちで沢山の制作物を手がけているんだ。
誰も彼も、慌ただしく電話をとったり真剣にモニターに向かったり作業に没頭していた。
かっこいいな。
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年6月9日 14時