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つまるところ社長の意向は、
二週間後の新聞に1ページ丸々つかった
リニューアル“アルコ”の広告を掲載しろ
ということらしい。
「なんでそんな急に…」
おそらく誰もがそう思っただろうが、村上課長が手帳を開け閉めしながらテンパり気味に言う。
「月末に、For Ladyが新商品の化粧水出すらしい。それに間に合わせたいんやと思う…」
競合他社である“For Lady”は、うちと顧客を取り合ういわばライバル会社だ。
なるほどそういうことなら、確かに新発売の壮絶な広告合戦にぶつかりたくはない。
しかし、紙面のサイズにしてはスケジュールがきつすぎる…
「リスケなしはさすがに…って言うたんやけど、そしたら出来るだけ早くってことで…」
「と、とりあえず企画会社に連絡して、全段の枠手配します…！」
俺に新聞業務を教えてくれている先輩が、デスクに走っていって電話をとる。
「どうや小瀧？制作間に合いそうか？」
課長が、紙面の校正を担当する俺を気遣うように伺ってくる。
今つくってるんは小スペースの広告だけ3種…
ラフもないし素材も集めなあかんし、
全段なんて最低でも初校まで一週間はかかる。
そこから校正重ねて考察通して…いやそれじゃ間に合えへん…
＿＿こんなとき濱ちゃんならどうすんねやろ…
「…制作って、新聞の企画会社以外に発注してもええんですか？」
「別途制作費はかさむけど、背に腹は変えられへんやろ」
こんなのは、甘えだろうか。
負担をかけたくはないというのに、だけどいざという時に頼ってしまう…
「Jワークスに、制作たのんでもいいですか…？」
こんなとき、梁さんなら。
「おお！そっか、ええやん！
meanの資材類も落ち着いてきたやろ？」
村上課長も、名案とばかりに前向きの姿勢だ。
「そしたら三日後くらいに初校いけへんかな？」
「課長鬼っすか…
ラフもないし、とりあえず、先方に相談してみます。」
やはり彼女の場数を踏んでいる数からして、上司らも信頼をおいているらしい。
「…もしもし、西緋の小瀧です！
すみません…梁さん、いまちょっと大丈夫ですかね？」
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
