※ ページ7
.
そこにあるのは、未練を凍らせて閉じ込めた藤ヶ谷への想い。
5年前……あの頃の純度を保ったままに、心の奥深くに沈めた想い。
「っ……やめ、……はな、せっ、……」
溶けてしまう。
あの日、後悔と共に凍らせたはずの想いが。
それが怖くて、俺は夢の中の藤ヶ谷に抗う。
俺の気持ちなんて何も伝わらないだろけれど、とにかく怖くて藤ヶ谷の胸を押し返そうと腕を伸ばせば、その手を取られて指先に口付けられた。
ちゅ、と音を滲ませて。
【わかってる。】
何がだよ。
何をわかってるって言うんだよ。
弧を描く唇と眩しそうに細められる瞳。
その瞳で。
結局、夢の中の藤ヶ谷は手を緩めない。
俺の都合の便利な夢の中で藤ヶ谷は、緩く笑って俺の至るところを舐めて触れて。
ぐちゃぐちゃの俺のそこを音を立てる勢いでかき混ぜておいて観察するみたいに見下ろしている。
匂い立つ男の色香。
俺を組敷く唯一無二の。
雄をその瞳に宿して。
藤ヶ谷の口元は笑みを刷いている。
それは、俺が望んだ藤ヶ谷で、想像の産物で、記憶の向こうに霞む藤ヶ谷だから、曖昧で。
だけどあまりにもリアルで。
だから多分怖いんだ。
本当は、二度と得られないものだから。
【北山、かわいー……。】
慣れた手は、簡単に俺を拓いて。
現実では有り得ないほど、躊躇いなく俺に手を伸ばす。
やめろ。
暴くな。
離せ。
「っ……あぁっ!!……やっ……んっ……ぁぁ……───」
意味を成さない声ばかりが響いて。
夢なのに。俺の夢なのに、何ひとつ俺の思い通りにはならなくて。
幻が、甘く俺を喰らい尽くす。
震えるほどの歓喜は、また俺の中で夢と現実の境界線を曖昧にする。
「っ……も、……やぁっ……」
わからない。
夢の中の藤ヶ谷は、本気で俺の体力を削り取るためだけに出てきてるんじゃないかって思える時がある。
触れて、舐めて、挿れて、抜いて、イカせて、まだ気が済まないって顔をして俺が全ての虚勢を諦めるまで許さない。
何んなんだ、オマエ。
【北山っ……】
だけどずっと囁かれ続ける俺の名前は、柔らかな太陽の日差しに似た深い深い慈愛を孕んで。
信じてと、言葉に宿る温度があまりにも温もりに満ちて……俺はじきに抵抗を諦めるしかなくなる。
だって俺は、結局藤ヶ谷を忘れることなんて出来なくて。
だから、藤ヶ谷を振り切ることも出来るはなくて。
凍り付いた心が、融解する──────……。
でも。
296人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流華(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さーん♪お久しぶりでーす♪♪わぉ、ロケ地に行かれたんですか!?羨ましいー( ☆∀☆)私も行きたいなぁ。頑張って更新していきますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ここさん» ここさん、こんにちは。コメントありがとうございます♪藤北さん……拗れてまさからね(笑)どうなることか(^_^;)頑張りますので、今後もよろしくお願いいたしまーす(*´∀`)♪ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - 椿さん» 椿姫……(笑)喜びの舞だったり、机の角で頭ぶつけたりと忙しいな(笑)ああ、卓袱台返しの準備もするんだっけ?(笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつも、ありがとうございますー♪ヽ(´▽`)/ゆっくり進んでます(笑)そうです、お墓ですよ。あれが、誰のお墓なのか…。ポイントですね、それ(笑)伏線……回収出来るはずです(たぶん/笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - 流華さーん!!お久しぶりです。いよいよですね!実はこの夏に、ロケ地に行ってきまして。まだ記憶も鮮明なので、今後が楽しみです^^いつまでも待ちますー (2018年10月21日 0時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:流華 | 作成日時:2018年6月8日 11時