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事後処理を終えて、俺は後輩と別れて白い鉄柵門の中へと入った。
一般の民には難しくても、歌うたいの名を出せばその中へと入るのは容易なことだった。
歴代皇帝の眠る霊廟の庭。
緑の木々は、あの日と何ら変わらずそこにあった。
差し込む木漏れ日の色さえも。

ここに、置いていけないかと思った想い。

それは今も変わらず、胸の奥にある。
捨てることも置いていくことも出来ず、かといって吐き出すことも出来ない想い。
5年の月日の中でも想いは色褪せることなく、凍ったままにただそこにある。
時間は、何の効力も持たなかった。

俺は、5年前と同じ樹の根に腰を下ろした。
目に映る緑。
碧様を初めとする緑の歌うたい達が端正込めて育てる美しき深緑。
吸い込む空気さえもが色付いているような。

思い返すのは、やはりあの日の学舎の中庭で。


────きたーま……


俺はぎゅっと目を閉じて、歯を食いしばる。
これまで何度も、藤ヶ谷には名前を呼ばれてきた。
笑いながら。
呆れながら。
怒りながら。
泣きながら。
藤ヶ谷は俺の名前を呼んだ。


────あはは。きたーま、これ見て♪♪

────もー、きたーま。なにやってんの……

────きたーま!!!聞いてるっ!?

────きたーま……俺……

────きたーま……


記憶の中の声が胸に甦る。
耳の奥に聞こえる藤ヶ谷の声。
閉じた目の奥に浮かぶ藤ヶ谷の表情。
その色さえも。

思い返してしまえば、それは留まることを知らない。

喉が詰まる。
息ができない。
静かに湧き上がる想いが抑えきれない。

どうして耐えられるのか。
他の奴はどうして耐えられるのか。

胸の内に。
これほどまでに愛しいものを抱いて。
そして、それを失って。
どうして叫ばずにいられるのか。

胸が張り裂けるような痛みを感じる。
溢れて。
ここへ来ると、どうしても凍り付いた想いが溶ける。

記憶の中で微笑む藤ヶ谷。
その存在は俺の心を満たし、更に。それ以上に。
哀しみを生む。

ああ、俺は……藤ヶ谷のことになると、こんなにも女々しい。

永遠に叶わない願いを抱き続けることと、絶望は何が違うのか?

俺は樹の幹に身体を預けながら光に透ける幻が見える気がした。
俺は手を伸ばす。
決して、もう触れることの出来ないその頬に。
当然の如く、すり抜ける幻。


俺の頬を一筋……涙が伝った。

赤の封印 F→←※



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流華(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さーん♪お久しぶりでーす♪♪わぉ、ロケ地に行かれたんですか!?羨ましいー( ☆∀☆)私も行きたいなぁ。頑張って更新していきますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ここさん» ここさん、こんにちは。コメントありがとうございます♪藤北さん……拗れてまさからね(笑)どうなることか(^_^;)頑張りますので、今後もよろしくお願いいたしまーす(*´∀`)♪ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - 椿さん» 椿姫……(笑)喜びの舞だったり、机の角で頭ぶつけたりと忙しいな(笑)ああ、卓袱台返しの準備もするんだっけ?(笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつも、ありがとうございますー♪ヽ(´▽`)/ゆっくり進んでます(笑)そうです、お墓ですよ。あれが、誰のお墓なのか…。ポイントですね、それ(笑)伏線……回収出来るはずです(たぶん/笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - 流華さーん!!お久しぶりです。いよいよですね!実はこの夏に、ロケ地に行ってきまして。まだ記憶も鮮明なので、今後が楽しみです^^いつまでも待ちますー (2018年10月21日 0時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2018年6月8日 11時

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