虹の跡 Ki ページ49
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足を踏み入れた瞬間、体感温度が1度か2度ほど下がった気がした。
広大な敷地を鉄柵に囲まれたその白い建物は、ひどく荘厳な佇まいでそこにあった。
「ちょっと緊張するね。」
千賀が瞳をキラキラさせて笑う。
それは一番歴の浅い歌うたいの重要な仕事のひとつでもあった。
ここは、歴代の皇帝陛下の霊廟である。
連連と続く国の歴史。
その支柱───皇帝陛下────。
平均在位七年を終えた皇帝は、次代の皇帝陛下が立たれると同時にその声から色が失われる。
虹色に全てを捧げ尽くしたかのように、その声は二度と色を宿さない。
元の歌うたいに戻ることも出来ないのだ。
皇帝の任を解かれた方々は国から身分と地位を保証され、その後は正に楽隠居と言われる生活を送る。
そして、ここに埋葬されるのだ。
死して尚、敬愛を集める歴史の皇帝陛下達。
皆、傑物であったと伝聞されている。
その方々に、決められた日に朝晩と二度の歌を捧げる。
捧げるは葬送の歌───鎮魂歌。
それは祈りに近かった。
天が選ぶ、神に等しき存在に捧げる祈り。
歌い出しは、我等がリーダー玉から。
そこに藤ヶ谷の声が重なり、俺の声が混ざる。
重なり合う七つのハーモニー。
それはやはり心地がいい。
七つの色が混ざる時、俺達の歌声は美しい色を奏でる。
けれど。
視界に捉える淡い桃色。
甘く柔らかく響くその声音。
滲む想いに、俺の壊れた涙腺がゆるゆると輪郭を溶かし始める。
ぐっ、とそれを堪えることで声の伸びが悪くなった。
ああ、くそっ……
ちゃんとしろよっ……
職務であるはずなのに、感情がコントロール出来ずにいる自分に苛立ちが募る。
その苛立ちに呼応するように、頭の奥で鈍い痛みが走る。
「ミツ？大丈夫？調子悪い？」
歌い終わった瞬間に玉が覗き込むように顔を近付けた。
鈍い痛みはそのまま残り、ずきずきとした痛みへと変わっていったが俺は無理して玉に笑って見せた。
「大丈夫大丈夫。」
「え、ミツどうかしたの？」
「きたやん大丈夫？」
返事をした俺に、他の弟達もが俺の周りに集まり始めた。
その時。
「体調管理くらい、自分でちゃんとしろよ。」
ひどく冷たい藤ヶ谷の声が響いた。
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流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーんo(^o^)oどっちも悪くなくて、どっちも悪い(笑)言葉足らずの二人(笑)長編!?いや、これでも長いって(笑)もう少し短くまとめたかったのにー(^_^;)頑張って書くーっ♪ヽ(´▽｀)/ (2018年6月8日 11時) (
レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつもありがとうございます(*´∀`)♪ドキドキと言っていただけて嬉しいです♪ヽ(´▽｀)/もう、詰め込み設定は悪い癖ですホント(笑)お話から情景を感じ取ってくださるSIZUKUさんの感性、大好きですー(///ω///)♪ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - 流華さぁん(o^^o)壮大な世界観に毎回引き込まれてるよ〜！ミツと太輔の心情が痛くて(TдT)もう、どうしたら〜。物語を彩る美しい情景にもうっとり♪もっと長編プリーズ！っと、ワガママな事を言う読者（笑）移行頑張って！楽しみにしてるぅ！めっちゃ！(//∇//) (2018年6月3日 19時) (レス) id: 6d214b6dc8 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん！素敵なお話をありがとうございます。ドキドキします。終わりが来て欲しいような、そうでないような笑 流華さんのお話を頭の中で映像化するもなかなか。だから引き込まれていきます。また更新を楽しみにしてます。 (2018年6月3日 0時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - あーさん» ああ、すみません……早とちりを(汗)お気遣いの言葉ありがとうございます(#^.^#)亀更新ですみません(^_^;)頭の中では出来上がっているのですが、文字に起こしている時間が(笑)ゆっくり進めて行きますねー♪ヽ(´▽｀)/ (2018年5月26日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流華
| 作成日時：2018年3月22日 17時
