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ひゅっと、喉が鳴った。
あれは、いつの事だ?
陛下のあの言葉。
これは。
まさか。
嘘だろう?
なぁ……藤ヶ谷?
違うよな?
オマエじゃねぇよな?
この花を置いたの、オマエじゃねぇよな?
頭の中は真っ白だった。
ただひたすらに、その事実を否定したかった。
だって。
なんで。
気が付いた時には、俺は部屋の中でその花を見つめていた。
一緒にいたはずの宮田や意識のない玉と二階堂に何を言って別れたかも正直覚えていない。
藤ヶ谷?
なぁ、藤ヶ谷?
これ何だよ?
どういうことだよ?
頭の中を?マークが飛び交う。
何かが変だとは思ってた。
おかしいと。
けれど。
話さなきゃ。
藤ヶ谷と話を。
そう思って、俺は隣の部屋へと急ぐ。
扉の前でひとつ深呼吸をして、その扉を叩いた。
しかし。
何度ノックを繰り返しても、最後にはその扉を殴り付ける勢いで叩いても、その扉が開くことは無かった。
「藤ヶ谷っ!!!なぁ!!!開けろよっ!!!」
俺の声は、虚しくその廊下に響くだけだった。
その開かれない扉が。
まるで藤ヶ谷の心を示しているみたいで。
防音の為か深酒の為か、はたまた深夜という時間帯の為か、俺が廊下で騒いでもどの部屋からも顔を出す者はいなかった。
ただその口から、聞きたかった。
──俺じゃないよ。
と。
心の何処かで"それしか有り得ない"と思っていたとしても尚。
それでも、信じたかった。
二人で過ごした時間。
きらきらと輝いた、あの日々を。
青い日の記憶。
白の誓い。
何度も共に潜り抜けた虹の祝福。
いつだって隣にオマエがいた。
あの時も、この時も。
愛してた。
今でも愛してる。
どうしようもないほど、オマエだけだ。
だからどうか。
これを嘘だと、悪い夢だと。
言ってくれ。
震える手で、何度もその扉を叩いた。
無言を貫くその扉を。
何度も。
何度も。
噛み合わない歯が、がちがちと不快な音を立てる。
抑えられずに漏れる声は涙混じりで。
「ふじ、がやぁ……」
頼むから、開けてくれ。
こんな俺を見て、あの甘い瞳で"何泣いてんの?"って笑ってくれ。
頼むから……藤ヶ谷……。
俺を、置いていくな。
ずるずると藤ヶ谷の部屋の扉に凭れたまま、その場にへたり込んだ。
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流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーんo(^o^)oどっちも悪くなくて、どっちも悪い(笑)言葉足らずの二人(笑)長編!?いや、これでも長いって(笑)もう少し短くまとめたかったのにー(^_^;)頑張って書くーっ♪ヽ(´▽`)/ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつもありがとうございます(*´∀`)♪ドキドキと言っていただけて嬉しいです♪ヽ(´▽`)/もう、詰め込み設定は悪い癖ですホント(笑)お話から情景を感じ取ってくださるSIZUKUさんの感性、大好きですー(///ω///)♪ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - 流華さぁん(o^^o)壮大な世界観に毎回引き込まれてるよ〜!ミツと太輔の心情が痛くて(TдT)もう、どうしたら〜。物語を彩る美しい情景にもうっとり♪もっと長編プリーズ!っと、ワガママな事を言う読者(笑)移行頑張って!楽しみにしてるぅ!めっちゃ!(//∇//) (2018年6月3日 19時) (レス) id: 6d214b6dc8 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!素敵なお話をありがとうございます。ドキドキします。終わりが来て欲しいような、そうでないような笑 流華さんのお話を頭の中で映像化するもなかなか。だから引き込まれていきます。また更新を楽しみにしてます。 (2018年6月3日 0時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - あーさん» ああ、すみません……早とちりを(汗)お気遣いの言葉ありがとうございます(#^.^#)亀更新ですみません(^_^;)頭の中では出来上がっているのですが、文字に起こしている時間が(笑)ゆっくり進めて行きますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年5月26日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月22日 17時