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慌てて確認した時間。
時計の針は、無情にも門限まで後20分を指していた。
ここから、全速力で走って学舎までは15分。
ギリギリ間に合う───けれど。


「二階堂、走れるか?」


「っ……上半身はあちこち痛いけど、何とか……」


「ならオマエ等、先に行け。」


「!?」


「北山くん!?」


「何で!?」


俺は。


「俺は、走れねぇ。」


そう言って指差す脚。
切られた脚は、歩くだけでもじんじんと痛む。
この脚では、まず間に合わない。


「でもっ!!!」


「ダメだ、一緒に行こうっ!!!」


二階堂が俺の肩を担ごうとする。
俺は、その手を制した。


「バカやろ。んなんじゃ間に合わねぇだろうが。」


「けどっ!!!」


「俺は、門限破りは初めてだ。オマエは?」


「……三回目……」


「だろ?だから、行け。」


「でも……」


尚も食い下がろうとする二階堂を正面から見つめる。
俺より高い身長を忌々しく思いながら。


「オマエ、諦めたくねぇんだろ?こんな終わりでいいのかよ!?」


「っ……」


悔しげに下を向いた二階堂を横目に、横尾さんに視線を向けた。


「横尾さん、二人を頼めるか?」


俺の懇願に、横尾さんは深く溜め息を吐いて。


「北山。」


そう、俺を呼んだ。
初めてだ。
横尾さんが、俺の名前を呼んだのは。









「奢り、食堂にしてやるから必ず無事に戻ってこい。」









ぶっきらぼうに顔を背けながら吐かれた言葉は、紛れもなく横尾さんの不器用な心配の現れ。
思わず苦笑が漏れた。

この人、面白れぇ。


「ああ。」


そうして3人は俺を置いて走り出した。
俺は、どうあっても門限にはもう間に合わない。
開き直ってその場に座り込んだ。

夜はまだ更けきってはいないが、ここは全く人は通らない。
まぁ、通ったとしても、誰もが脚から血を流す俺に構う人はいないだろう。


「あー……痛ってぇ……」


人気のない、石造りのトンネルの中で俺の声は反響しながら寂しく響いた。

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流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーんo(^o^)oどっちも悪くなくて、どっちも悪い(笑)言葉足らずの二人(笑)長編!?いや、これでも長いって(笑)もう少し短くまとめたかったのにー(^_^;)頑張って書くーっ♪ヽ(´▽`)/ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつもありがとうございます(*´∀`)♪ドキドキと言っていただけて嬉しいです♪ヽ(´▽`)/もう、詰め込み設定は悪い癖ですホント(笑)お話から情景を感じ取ってくださるSIZUKUさんの感性、大好きですー(///ω///)♪ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - 流華さぁん(o^^o)壮大な世界観に毎回引き込まれてるよ〜!ミツと太輔の心情が痛くて(TдT)もう、どうしたら〜。物語を彩る美しい情景にもうっとり♪もっと長編プリーズ!っと、ワガママな事を言う読者(笑)移行頑張って!楽しみにしてるぅ!めっちゃ!(//∇//) (2018年6月3日 19時) (レス) id: 6d214b6dc8 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!素敵なお話をありがとうございます。ドキドキします。終わりが来て欲しいような、そうでないような笑 流華さんのお話を頭の中で映像化するもなかなか。だから引き込まれていきます。また更新を楽しみにしてます。 (2018年6月3日 0時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - あーさん» ああ、すみません……早とちりを(汗)お気遣いの言葉ありがとうございます(#^.^#)亀更新ですみません(^_^;)頭の中では出来上がっているのですが、文字に起こしている時間が(笑)ゆっくり進めて行きますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年5月26日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月22日 17時

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