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その言葉に、俺の中で何かが切れた。
カッと頭に血が昇る。
「だったら、辞めろよ。」
「っ!?」
自分でも驚くほど低い声だった。
俺の声に千賀も横尾さんも驚いたように振り返る。
「運命?ふざけんなっ!!!自分の至らなさを、そんな言葉で片付けてんじゃねぇよっ!!!」
この程度で運命だなんて笑わせる。
俺は、知ってる。
本当にどうにもならない運命に晒されて、それでも必死で折り合いを着けながら、その数奇な運命に立ち向かう二人を。
頭の中で浮かぶ陛下と紅様の姿。
唐突に虹色を持ってしまった陛下の声。
本当は二人で寄り添いながら生きていけるはずだったものを、国のために全てを擲って運命と戦っている。
二人の時間を止めてまでして。
皇帝がいなければ、天が荒れ地が荒れる。
玉座を空位には出来ないのだ。
だから。
お二人は、全てを封じ込めて皇帝と紅として生きている。
あのお二人を目の当たりにして、この程度を運命なんて言葉で片付けさせない。
そんな軽い言葉なんかじゃねぇから、運命は。
「みんな必死なんだ。誰も先を保証なんかしてくれねぇ。それを何だよオマエ……自分だけが辛いとか思ってんじゃねぇよっ!!!そんなんだったら、辞めちまえっ!!!」
「うるせぇっ!!!」
叫んだ二階堂は起き上がり、俺の胸ぐらを掴んで石造りの壁に押し付ける。
その瞳には、深い悲しみと憤りが浮かんで。
「俺だってっ!!!俺だってっ!!!頑張ってんだよっ!!!だけどっ!!!」
「二階堂っ!!!」
「千賀、いいっ……」
怒りより悲しみが先立つ瞳を真っ直ぐに見つめて。
言わせてやろうと思った。
胸の内に溜め込んだその想いを。
弱音を吐けなくて、そんな弱音が出てくる自分自身に苛立って、斜めに構えるしか出来なくなったバカなコイツの本音を。
「でもっ虹色は光らないっ!!!何で!?何でなんだよっ!!!」
瞳に、じわじわと浮かぶ涙の影。
吐き出される悔しさ。
「何でっ、……なんだよぉ……」
言葉尻は、涙声で。
俺の胸ぐらを掴んでいた手は力を失い、ゆるゆると離されだらりと下がった。
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流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーんo(^o^)oどっちも悪くなくて、どっちも悪い(笑)言葉足らずの二人(笑)長編!?いや、これでも長いって(笑)もう少し短くまとめたかったのにー(^_^;)頑張って書くーっ♪ヽ(´▽`)/ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつもありがとうございます(*´∀`)♪ドキドキと言っていただけて嬉しいです♪ヽ(´▽`)/もう、詰め込み設定は悪い癖ですホント(笑)お話から情景を感じ取ってくださるSIZUKUさんの感性、大好きですー(///ω///)♪ (2018年6月8日 11時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - 流華さぁん(o^^o)壮大な世界観に毎回引き込まれてるよ〜!ミツと太輔の心情が痛くて(TдT)もう、どうしたら〜。物語を彩る美しい情景にもうっとり♪もっと長編プリーズ!っと、ワガママな事を言う読者(笑)移行頑張って!楽しみにしてるぅ!めっちゃ!(//∇//) (2018年6月3日 19時) (レス) id: 6d214b6dc8 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!素敵なお話をありがとうございます。ドキドキします。終わりが来て欲しいような、そうでないような笑 流華さんのお話を頭の中で映像化するもなかなか。だから引き込まれていきます。また更新を楽しみにしてます。 (2018年6月3日 0時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - あーさん» ああ、すみません……早とちりを(汗)お気遣いの言葉ありがとうございます(#^.^#)亀更新ですみません(^_^;)頭の中では出来上がっているのですが、文字に起こしている時間が(笑)ゆっくり進めて行きますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年5月26日 12時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月22日 17時