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お二人の間に見える確かな愛情。
初めて知る、陛下と紅様の関係は甘くも切ない色をしていた。
それは、時々遠くで拝見する公式の場での陛下と紅様には持ち得ないもの。

それ故に、陛下の言葉は重かった。
どうしようもないほどの重さを孕んでいた。
国とは。
皇帝とは。
それほどの重さを担っているのか。
陛下とて、なりたくてなった皇帝ではない。
ただ、その声が虹色を纏ってしまった。
それだけだ。

それでも。


「オマエから、オマエの色の花が届いたら……俺は、何も言わずにオマエを解放してやるよ。」


何でも無いことのように紡がれたその言葉は、ひどく哀しい音をしていた。
そこに、皇帝として陛下が固めた揺るぎないものが垣間見えた。


「言いてぇことは、それだけ?」


「っ!?」


黙って陛下の言葉を決意を聞いていた紅様が、おもむろに口を開いて。
その声にも、陛下と同様の決意が滲んでいた。
漂う赤だけが宿す強さ。


「俺は、オマエを手離す気なんて全くねぇから。」


「っ……ゃ……」


「オマエが待てっつーなら待つ。嫌だっつってもな。」


「……本気かよ……。」


「ああ。」


紅様は、陛下の手を取り祭壇の前で膝を折った。
神を祀るその前で、紅様は陛下の手を取る。


「神と、我が皇帝陛下に誓う。永遠に俺はオマエのものだ。」


「……今までの事例を考えれば5年もすれば、次代の皇帝が現れるんじゃねぇかと思う。それまでに国を豊かにして、俺は楽隠居でもするわ。……オマエさ、着いてきてくれんの……?」


「ああ。当たり前だ。」


紅様は、立ち上がり陛下をゆっくりと抱き締めた。
白く清らかな光が差し込むその場所で、ひどく神聖なお二人の儀式のようだった。

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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時

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