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ドンッ


「痛ってっ……」


「悪いっ、大丈夫かっ!?」


学舎を出ようと門に差し掛かったところで、横から出てきた相手と出会い頭に人にぶつかった。
かなりの勢いで走っていた俺はそのままの勢いで相手を弾き飛ばした。

慌てて手を差し出して、相手の顔を見えた瞬間に俺はぎょっとした。
座り込んだまま、ギョロりと目を吊り上げてキツく睨まれる。

げ。
あー……面倒なのにぶつかった……。

俺が差し出した手を取ることなく、その細く薄い身体は立ち上がった。
足腰をパンパンッと手で払いながら、その視線は和らぐことはない。

憮然とした表情で俺を睨み付ける。


横尾……。


一つ年下ながら、俺よりもずっと早くに学舎にいて、俺よりもずっと歌うたいに近い位置にいたはずのコイツ。
けれど、コイツの上で虹の祝福が光ることはなくて。
先日の儀式の時に歌うたいになった奴らと良く連れ立っていたのを覚えてる。


「痛ってぇなぁ!!!前見て走れっ!!!」


以前から"横尾は短気"が定説だった。
すぐに怒る、横尾の沸点の低さは本当に面倒だと思っていた。


「悪いっ、俺急いでて。」


俺の顔を見た横尾の表情から、怒気が抜けていく。
俺は今、相当切羽詰まった顔をしているのだろう。
行き掛かりとはいえ、知ってしまったら放っておけないのだから仕方ない。


「危ねぇから、気を付けろよ……」


「ホント、ごめん。じゃ、俺急ぐから。」


「待てよ。」


走りかけた俺にかかる、ひどく冷静な横尾の声。
先程までの怒気は孕んでいないように感じたが。

マジで勘弁してくれ。
今はオマエの相手をしてる暇はねぇんだよ。

そう思って振り返ると、横尾が俺に近付く。


「オマエのその焦り、二階堂と千賀に関係ある?」


「っ!?」


「あるんだな?さっき見た……二人とも。」


横尾は外から帰ってきたのだろう。
その横尾が見かけたというのなら。


「何処で!?」


「俺がたまに行く路地裏のバーの側で。」


「ちょ、案内してっ!!!」


「はぁ!?」


横尾の眉間にまたしても皺が寄る。
その顔は、冗談だろ?と言っている。
でも、俺は引く気はない。
恐らく、この状況下で門限までに二階堂と千賀を連れ帰るためには、街で二人を見かけたという横尾の情報以上のものはない。

だったら。

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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時

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