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俺は、千賀の部屋に確認に行き、案の定の不在を確かめて。
部屋に戻って、制服を脱ぎ捨てた。
恐らく、千賀は二階堂を探しに街へ出た。
あの様子では、きっと闇雲に探し回ってるだけだろう。
このまま行けば、千賀も巻き添えだ。
急いで部屋を出ようとした時。
「ただいまー……って、何?北山、何処か行くの?」
部屋の扉を開けて帰ってきた藤ヶ谷は、俺の姿を見て怪訝な顔をした。
「あ、ああ、ちょっとな。」
「ちょっと何?ちゃんと説明してよ。」
一瞬にして、不機嫌を露にする。
でも今は、時が惜しい。
門限まで後二時間を切ってる。
何処にいるかもわからない二階堂と、闇雲に動き回っているだろう千賀を捕まえるには時間が足りない。
「二階堂が、いねぇんだ。」
「は?」
「で、それを探し回ってる千賀もいねぇ。」
「ちょ、ちょっと待って、何?どういうこと?」
「とにかく今は、アイツ等を探すことが先決だから。」
俺は、藤ヶ谷の横を通り過ぎて探しに出ようとした。
そんな俺の腕を藤ヶ谷が掴む。
「二階堂って、あの二階堂だよね?何で北山が探すの?」
話さなければ離してくれそうにはない。
でも、今はそんな時間もない。
「オマエがいない間に色々あって……」
「色々って?」
「後で必ず説明する。頼むから今は行かせてくれ。」
「なら、俺も行く。」
間髪入れずに藤ヶ谷が答える。
有無を言わせない口調と強い瞳が、藤ヶ谷の機嫌の悪さを物語っていた。
「いや、俺達二人が部屋にいなかったら、もしも玉か宮田が遊びに来た時に不審に思って騒ぐ。そしたら、二階堂と千賀がいないこともバレるかもしれない。」
「で?」
「なるべく騒ぎを大きくしたくない。頼む、藤ヶ谷。オマエは残って。」
これで藤ヶ谷が納得するわけないと思いながら、それでも俺は言った。
損な性格だと思う。
放っておけばいいのに……とも思う。
だけど。
「いいよ、わかった。」
藤ヶ谷が、肩を竦めて溜め息と共に言った。
それは、何処か諦めの色を纏って。
「悪いっ!!!後で説明するからっ!!!」
藤ヶ谷の言質を取ったと同時に走り出した。
部屋を飛び出した俺は、残された部屋の中で藤ヶ谷がどんな顔をしていたかなんて、知らなかった。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時