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切羽詰まったような顔をした千賀に俺はなるべく優しい声を出した。
別に自分が泣かせているわけではないが、泣いている相手の話を聞くのはどうにも落ち着かない。
「……ニカ……が……」
ニカ……二階堂か……。
千賀といつも一緒にいる悪ガキの顔が頭に浮かぶ。
最初の頃は、どうしようもないほどの悪ガキだった二階堂。
それが最近は思春期特有の雰囲気を纏って、何もかもを斜めに構えたような顔をしている。
尖った空気……とでも言うのだろうか。
若いなぁなんて、少し遠くから見ていた。
「二階堂がどうかしたのか?」
「っ……戻って、こないんだ……この前の虹の祝福から少し変でっ……」
千賀と二階堂は同室だった。
だから、二階堂の変化にはすぐに気が付いたのだろう。
そして昨夜、帰ってこなかったと。
学舎は門限がある。
門限に間に合わなければ、朝の点呼には間に合わない。
「いつから?」
「昨日の……夕方から……」
「アイツ、何度目?」
「昨日で二回……。」
「ってことは……」
「今日も戻って来なかったら……ニカ、ここにいられなくなっちゃうかも……。」
三度の門限破りは懲罰対象。
下手をすれば……退学だ。
日頃からの授業態度等を考えれば二階堂はたぶん……
千賀は、大きな瞳からぼろぼろと涙を溢した。
「何で、俺に?」
はっきり言えば、俺は二階堂とそれほど仲がいいわけじゃない。
関わることを面倒だと思っていたほどだ。
そんな俺に、こんな話を持ってくる千賀の真意がよくわからなかった。
「藤ヶ谷くんも、玉森くんも、人見知りであんまり誰かと仲良くしてる姿見ないのにさ、北山くんと居る時だけ、すごく優しい顔をしてるから……。」
「?」
わけがわからない。
俺と一緒にいる藤ヶ谷と玉が優しい顔をしてるからって何だと言うんだ?
それは、別に俺の力じゃない。
アイツらは、元々優しい奴だ。
ただ少し不器用なだけで。
「それを見て二階堂が……アイツは凄げぇって北山くんのことを言ってたんだ。」
これには少し驚いた。
あの悪ガキに、そんな風に思われているとは思わなかった。
「俺……初めて聞いたんだ。二階堂が誰かを誉めるの。だから、北山くんの説得なら二階堂も聞くんじゃないかと思って……。」
ぼろぼろと大粒の涙を溢しながら、千賀が俺を見る。
泣く千賀を可哀想だと思うことは出来る。
しかし、それは何かが違う気がした。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時