赤の縛 Ki ページ43
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「……北山くん……」
いつも何処へ行くのも同じだった藤ヶ谷が、珍しく俺とは別にされて地方の派遣団に組み込まれていた。
最近だといつでも隣にあるわけではないのに、あるはずの気配が無いことに妙に心が寒くなる。
まとわりついてくる玉と宮田を見ながら、ちょっと前まで藤ヶ谷もそうだったなぁ、なんてことを思ってた。
いつの間に、あんな大人びた顔をするようになったのか。
俺を抱く藤ヶ谷は、ひどく雄の匂いを纏って。
またひとつ、知らなかった顔を知った。
どんどん、好きになる───。
今夜、帰ってくるはずのアイツをどう労おうかと、そんな事を考えていた授業終わりの教室で、後ろから声がかかった。
あれ……コイツ……。
大きな瞳をキラキラとさせて、俺を見上げる幼い少年。
何度か授業で一緒になったことはあるが、あまり関わった事はなかった。
「千賀……だよな?」
玉が俺と宮田の後ろに隠れる。
相変わらずの人見知りに苦笑が漏れた。
「うん、北山くん……ちょっといいかな……?」
俺の横と後ろの宮田と玉をチラチラと見ながら遠慮がちに千賀が言う。
その態度に、玉が俺の袖をぎゅっと掴む。
つまり、俺とだけ話がしたい……ってことか。
そして玉の行為は恐らく俺を止めたいんだろう。
気持ちはわかる。
今日は何故か一人だが、千賀はいつも一緒にいる奴がいる。
これがまぁ……何て言うか……悪ガキだ。
玉と宮田は……特に人見知りで引っ込み思案の玉は、ソイツの悪戯の恰好の餌食だった。
食堂で大好きな食べ物をソイツに取られて、涙ぐんでいたのを覚えてる。
たぶん、玉はこの呼び出しにアイツが絡んでると邪推してる。
けれど……これは恐らく違う。
千賀の瞳は、どうしたらいいかわからないと不安に揺れている。
そーいえば今日……あの悪ガキ、見てねぇな。
俺は、玉の頭をぽんぽんと撫でて。
それでもまだ不安そうに見上げる玉に大丈夫と笑って先に寄宿棟に戻るように促した。
宮田に視線を向ければ、何も言わずに頷いて玉を連れて行った。
あの、人の意図を瞬時に読み取る宮田の能力……良いよな…なんて、そんな事を思って。
「で?どうした?」
泣きそうな顔をした千賀と向き合う。
誰もいなくなった教室は、思った以上に声が響いた。
「北山くん……あ、あのね……」
「ん、ゆっくりでいいぞ。」
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時