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その未だ幼さを宿すあどけない顔は純粋そのもので。
幼い頃からこの学舎で生きてきた藤ヶ谷は、外でそれなりに遊んできた俺には、あまりにも純粋すぎた。
「っ……そーなんじゃねぇの?」
声が裏返ったのが自分でもわかる。
俺の曖昧な返事に藤ヶ谷があからさまに顔をしかめるけれど。
許せ、これが精一杯だっつーの。
「……きたーま……赤、だったね。」
「ああ……。」
色を持った歌声は、よほどのことがない限り変わることはない。
俺の声は、赤。
藤ヶ谷は、桃。
赤は、攻撃色。
つまり、俺の行き先は────軍だ。
紅の名を冠する将軍が統率する赤の歌うたい達が集う赤館。
歴代の
中でも今の紅様は歴代最高になるのではと名高い。
「きたーまに赤が勤まるー?(笑)」
「うっせぇ(笑)やるしかねぇだろ。」
「まぁね。」
「てか、オマエだって勤まんのかよ。」
藤ヶ谷は桃。
桃は、バランスの取れた一級品。
絶対数が少ないこの色は皇帝の政務の一端を担う上に、軍にも顔を出す。
「俺だって、やるしかないよ。」
歌声が色を持った。
それは、宿命とも言えるだろう。
俺は、木の根本に座り込んだまま空を見上げる藤ヶ谷を見つめた。
未だ幼さを残す瞳に、強い光を見た。
美しい桃色を宿す声は、きっと藤ヶ谷に似合う。
政務を取り仕切る桜。
その皇帝の治世で、燦然と権力を誇る桜様の隣で藤ヶ谷は美しく咲くだろう。
俺には見える。
きっと、藤ヶ谷は。
ならば俺は。
紅様の片腕にならなければ。
オマエと並び立つ為に。
「藤ヶ谷……」
「ん?……んんっ!?」
俺の問い掛けにこちらを向いたその顎を取って、俺は藤ヶ谷にキスをした。
すぐに離れると、藤ヶ谷は驚いて真っ赤な顔で目を見開いていた。
「ごちー。」
「おまっ……、な、な、何すんだよっ!!!////」
んな、真っ赤な顔で睨まれたって可愛いだけだっつーの。
木漏れ日が差し込む光の中。
そんな風に、俺達は始まった。
俺の目標が、歌うたいじゃなくて紅の片腕になった甘くて青い日の記憶。
「俺、絶対に歌うたいになるっ!!!」
幼い俺の決意を、隣で藤ヶ谷が。
少し離れた城の窓から皇帝陛下が聞いていた。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時