※ ページ33
.
だから。
だからこそ。
この今を素直に受け入れられない。
つまらない矜持が俺を引き留めて。
こんな俺を。
そう思うのに……
甘やかに繰り返されるキスに、徐々に抵抗は弱まっていく。
「俺、頼れって何度も言ったよ?」
言葉の意味がわからない。
わかりたく、ない。
首筋へのキスを止めて、顔を上げて俺の心の奥を覗き込むように視線を合わせる藤ヶ谷。
真っ正直から見つめられて。
ああ……。
その瞳に、宿るものは。
いつの間に。
そんな大人びた顔をするようになった?
可愛くて、可愛くて仕方なかった藤ヶ谷が。
艶めいた色を乗せて。
俺を見つめる。
匂い立つ、オトコの色香。
「ねぇ、北山……大丈夫?」
俺に触れる手は優しく甘い。
「っ……ごめん……。」
何に対して謝っているのか、俺にもよくわからない。
ただ、何かが溢れて。
何もかもを放り出して、ただその甘さに溺れてしまおうか……。
そんな風に思って。
「北山……。」
ただ、甘く。
例えようもないほど、甘く。
囁かれる名前は。
俺を揺るがし、溶かす。
「目を、閉じて……?」
そう言って、藤ヶ谷の身体のわりに小さな手が俺の視界を塞ぐ。
遮られる明かり。
伏せる瞳。
見なくていいと言ってくれるのか。
俺自身が見たくない、弱い俺を。
この弱さを、引き受けると?
藤ヶ谷……。
「北山はいっつも、一人で何とかしようとする。
オマエなら大丈夫だって皆思ってるし、俺も思うけど、でも本当は……
大丈夫じゃない時だってあるんだろ?」
塞がれた視界。
真っ暗な中で、藤ヶ谷の声だけが響く。
同時に降ってくる唇の柔らかな感触。
眦から、流れて落ちる雫。
俺は……限界だった─────。
416人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時