検索窓
今日:7 hit、昨日:38 hit、合計:134,006 hit

ページ27

.



「覚えたか?」


「問題ありません。」


「ならば、いくぞ。まずは色を付けるな。我に合わせろ。」


共に歌うと言うのか!?
陛下と!?
そんなことは、虹の祝福の儀式以外は有り得ないことだと思っていた。
あの、候補生が歌うたいになる儀式以外で陛下と音を合わせるなんて。
けれど、陛下ご自身は当たり前のように音を取って。
俺は、慌てて声を出した。


♪♪〜〜♪♪〜〜♪〜〜〜〜〜


「ああ、いけそうだな。北山、あのワインに向けて集中しろ。いいな?」


「は、はい。」


もう、何だかわからなかったが、それでも陛下が言う通りにやるしかなかった。

目一杯息を吸い込んで音を紡ぐ。
境界線を超えて、一音目が色付く。

赤。

それに、陛下の虹色が重なる。

くっ……

喉が焼けるように熱い。
授業などで、たまに教師から受ける上級者が候補生を導く手法。
それと同じではあるものの、圧倒的に力量に差が有りすぎる。

陛下の歌声が、俺を引き上げようとする代わりに掛かる負荷。
全身の体温が一気に上昇するような感覚。


血が、沸騰する────。


一気に陛下の虹色に呑み込まれていく俺の赤。

視覚的に捉えられるそれが、俺が運ぶはずたったワインの瓶たちに向かっていく。
色を持つ歌声が、ワインを包み込んだと思った瞬間。


その大量のワインが丸ごと消えた。


「!?」


消えた──────……?


「ふぅ……成功したな。」


陛下は、若干大きく息を吐いて、またもくすくすと笑っていた。
俺はまともに立っていることさえ出来なくなって、その場に膝を付いた。


「はぁっ、はぁっ……」


呼吸は乱れ、肩で息をして。
眩暈がして、視界が揺れている。
急激に引き上げられた感覚に身体が悲鳴を上げた。

まさか。
これは。

先日の授業で習った、皇帝陛下の虹色の声だけが可能なこと。









「……物質空間移動……」









皇帝が頭の中で描いた場所に、物質を飛ばせる虹色の声だけが可能な────奇跡。
距離が遠ければ遠いほど、物質が大きければ大きいほど、皇帝にかかる負荷が大きくなるという秘歌。


「習っていたか。」


「は、はい……。」


確かに習ってはいた。
けれど。
それが、まさかこの歌とは。

俺はまだ、起こったことが信じられなかった。
物が消えたのだ。
目の前で。
あの大量なワインの瓶は、何処へ行ったのか。


「厨房に運んでおいた。後で確認してくれ。」


「!?」

※→←※



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (295 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
416人がお気に入り
設定タグ:Kis-My-Ft2 , 北藤 , 藤北
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。