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「これで、みんなバラバラか……」
俺の隣で玉が少しだけ寂しさを滲ませた。
でも、みんな違う色を持ったということは、同期生として歌うたいになる可能性を持ったということで。
大丈夫だよ。
そんな想いを込めて、玉の柔らかい髪を撫でた。
「ミツも、時々そうやって頭撫でるんだよね、何で?」
俺が撫でる手に気持ち良さそうに瞳を細めて玉が不思議そうに問う。
ぴくりと俺の手が止まって。
それを見上げる玉の瞳に、誤魔化すようにポンポンと動く俺の手。
「玉が可愛いんだよ、きっと。」
俺の手は、声は、震えていないだろうか。
心の中で渦巻く黒い感情が見透かされてはいないだろうか。
ひどく純粋に寄せられる親愛の瞳が眩しくて、俺は視線を逸らす。
ねぇ、北山?
特別なのは、俺だけだよね?
まるで女みたいな女々しさに自分で呆れる。
そんな不安を悟られたくなくて。
何でもないフリを繰り返す。
それでもやっぱり確認したいから。
「北山……今夜、あの部屋……行こ……?」
二人にわからないように、手を握って誘う。
恥ずかしいけれど、もうそれ以上に北山が欲しくて。
「っ……」
息を呑んだ北山の瞳が、甘やかに雄のそれに変貌を遂げるのがわかって。
俺は安心するんだ。
誰にも知られず、二人で歩く暗い廊下。
響くのは俺達の足音だけで。
無言で早足になるのは、互いに焦れてる証拠で。
早く。早く。
二人きりで、何も纏わず抱き合いたい。
紅様にもらった鍵は宝物で。
これがあれば。
これを回せば。
北山は、俺だけのものになる。
たぶんきっと、陛下と紅様もそうだったんだろう。
この部屋で、誰にも秘密で愛し合ったはず。
欲しくて欲しくて堪らない。
俺だけじゃないって、早く俺に教えて。
がちゃ。
「んんっ……」
鍵をかけたと同時に扉に身体を押し付けられて。
奪われる唇。
性急に捩じ込まれる舌。
思う様に俺の咥内で動き回るそれに翻弄される。
絡めて、吸い上げて、引き出される快楽。
もっと。
もっと、俺を求めて。
期待から膨らむ自身の熱は形を成して。
それを、北山のに押し付けた。
「もっとっ……ねぇ、き、たやまっ……もっ、とっ……」
キスの隙間から漏れる俺の声は、もうどうしようもないほど北山を求めていて。
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そして何処か……狂気を孕んでいた。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時