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「宮田ーっ!!!ガヤーっ!!!」
玉の声が響いたと思ったら、ガタンと扉が開き満面の笑みで玉が駆け寄ってきた。
その声に、宮田の表情に笑みが戻る。
柔らかに微笑まれるその顔に、確かな愛情が見えた。
「俺ね、黄色だった。ね、ミツ?」
玉が後ろを振り返り、そこに立つ北山に笑いかけた。
その言葉に、俺の心の奥が軋んだ音を立てる。
また……一緒にいたの?
玉が俺に言うその姿は、まるで子供が親に誉めてもらいたくて報告するみたいで、決して何かがあるわけないのに。
「そっか、
国庫を預かる財務の黄色。
梔子様は、ひどく独特の空気を纏う方だけれど、優しい人だった。
「宮田の声も色付いたよ。」
「え!?」
「マジか、何色!?」
俺の言葉に、二人は目を見開いて驚いた。
二人の視線が集中した宮田は、少しだけ困ったように笑った。
「…………紫……なんだ…………。」
視線を逸らし、自信なさげに呟いた声は何処か焦燥を孕んでいた。
「え……」
玉の声が零れて。
それは、玉も同じように"宮田には合わない"と感じたことを示していた。
なのに。
「へぇ、良いじゃん。オマエに合うよ、宮田。」
北山だけが、そう笑った。
合う?
宮田に?
どう考えても、優しい宮田に人を裁くことが出来る気はしなかった。
「え……?」
宮田も驚いて北山を凝視していた。
そんな宮田に、北山は穏やかに微笑んでいる。
「だって、法って"最後の良心"だろ?宮田くらい優しい奴の方がいいじゃん。」
っ─────……。
言葉が出なかった。
それは、俺だけではなく玉も宮田も驚いた表情で北山を見てた。
確かに、紫館が暴走すれば極刑を受ける者が増えて国の秩序は乱れていく。
言われてみれば、人を裁くことの怖さを知っていることは、大事なことのように思えた。
その考え方。
前を見据えて、俺の中に無い言葉を紡ぐ。
「……そう、かな……?」
ほら、不安に揺れていた宮田の顔が少しだけ明るくなる。
これが、北山の力。
不安を照らす優しい光。
これに魅せられて、俺はまた北山を好きになる。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時