黒の感情 F ページ20
.
「きたー……北山。」
「ん？どした、藤ヶ谷。」
北山の隣にいる玉と宮田を気にして、いつもと同じようには呼べなかった。
気が付けば、きたーまの隣には玉がいることが増えて。
呼び掛けては訂正していた。
そんなことを繰り返しているうちに"北山"とそう呼ぶのが当たり前になっていった。
吐いた溜め息は、深く重い。
わかっているんだ、本当は。
北山は、ああいう男だ。
情が深くて、熱い。
俯きがちに人見知りを発揮していたのに、徐々に慣れて俺達を見つけると瞳を輝かせる玉の姿は俺から見ても本当に可愛い。
まるで弟が増えた気持ちになる。
俺は、そんな可愛い弟に向ける負の感情をもて余していた。
決して明るくはないそれ。
純粋な思いで北山を慕う玉と、可愛がって守ろうとしている北山。
眩しいくらいに真っ直ぐな二人。
俺が、俺だけが、どうにも汚いように思えてしまう。
玉は可愛い。
宮田も可愛い。
二人を好きだと思う。
でも、二人が例えば別の誰かと極端に仲良くなっても、こんな風には思わない。
北山だけ。
北山にだけ、思う。
ねぇ、その隣にいるのはどうして俺じゃないの？
もっと二人でいる時間を増やしたかった。
端的に言えば、もっと構ってほしくて。
好きな想いに際限はないみたいに、俺はもっともっとと望む。
ねぇ、北山？
俺のこと、好き───？
何度も確認したくなってしまって、でも出来なくて。
何故なら……
─────オマエも気にかけてやってくれよ。
信頼を溶かした瞳でそんなこと言われたら、俺は頷くしかなかった。
♪〜〜♪〜♪〜〜〜
北山に言われたのもあって、今日は宮田と空き教室で約束をしていた。
空き教室から漏れ聞こえる宮田の声。
宮田の声には、まだ何色も滲まない。
簡単に"色を持つ声"と言っても、じゃあそれをどうしたら出せるのかと問われても、言葉にして説明するのは難しかった。
唐突に色を持った、あの木漏れ日の中庭での出来事。
あの日から、何となく感覚的に掴めるようになっただけだ。
自分の中に境界線ようなものがあって。
これを超えると声が色を持つ……といったものだ。
恐らくは、一度その線を認識すれば二度目三度目は難しくない。
♪〜〜〜♪〜♪〜〜
？
約束の空き教室を覗き込むと、そこに宮田がいた。
宮田の表情は─────歪んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽｀)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (
レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ？(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽｀)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん！このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして！壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん！これからの展開も楽しみです！ (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流華
| 作成日時：2018年3月1日 16時
