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紅様から鍵をもらったその日の夜、俺と藤ヶ谷は二人で部屋を抜け出した。
学舎には、当然のように門限というものが存在する。
歌うたいとして国官である以上は、品行方正が望ましい。

歌うたい候補生は皆20時までには学舎に戻っていなければならないとされていた。
20時以降は、学舎の門は閉められてしまうからだ。
門限を過ぎた者は閉め出しをくらい、朝の点呼にも間に合わない。
そして、三度の門限破りは懲罰対象でもあった。

歌うたいになってしまえば、城からの空中回廊で直接寄宿棟に帰ってくることも出来るが、色を持った歌声で開城の歌が歌えなければ城の門は開かない。

つまり、候補生は入城権限が無いのだ。
故に、候補生達の夜は早いのが当たり前だった。
しかし学舎の中では寄宿棟と学習棟の出入りは出来る。
俺と藤ヶ谷は夜にこっそりと部屋を抜け出した。


カツン、カツン。


夜の学習棟は人気も少なく、足音だけが響く。


「藤ヶ谷、足元気を付けろよ。」


「ああ…………わっ!?」


「っぶねっ。大丈夫か?」


言ったそばから、藤ヶ谷が何かに躓いた。
傾いだその身体を支えて。
触れた瞬間、その体温にぞわりと背中を何かが駆け上がった。
もっと触れたい。


「ごめん、ありがと、きたーま。」


躓いたことが恥ずかしかったのか、顔を背けて礼を言う藤ヶ谷。
きっと、その顔は赤く染まってる。
手元の小さな蝋燭の灯りじゃ、表情は見えてもその朱色に染まる頬までは判別出来ない。
もっと見たいと、無性に思った。

紅様の話によれば、学習棟の一階の一番奥にある今は使われていない教室に、人が隠れられるほどの木製の戸棚のようなものが五個並んでいる。
そのうちの右から二つ目。
その戸を開けると、そこに扉が現れた。

古ぼけた鍵穴に、紅様から頂いた鍵を差し込んで回すとガチャリと音がして扉が開く。

薄暗い中で、地下に階段が伸びているのが見えた。

ごくり。

喉がなる。
その暗闇の先。
何が待ち受けているのかわからないようなそこ。

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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時

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