※ ページ12
上を見たらキリがない。
この人の片腕になる為には、一体どれ程の経験を積めばいいのか。
それでも。
それでも俺は決めたから。
恐らくはいつか、桜様の隣で美しく咲くであろう藤ヶ谷。
それと並び立っても恥ずかしくない俺である為に。
俺は、必ずこの人の片腕になってみせる。
「そうだ。これも、何かの縁だよな。オマエ等に良いもんやるよ。」
少しだけ悪ガキのような笑みを浮かべた紅様は、ポケットから鍵束を取り出して、その中から1本の鍵を取り外して俺に向かって差し出した。
ひどく古くなって、所々錆が出始めているそれ。
「鍵……でございますか?」
「あの、どちらの?」
疑問に思い問い掛ける俺と藤ヶ谷。
紅様の瞳が、遠くを見つめるように細められて。
そこに浮かぶは郷愁の色。
「学習棟の地下にある秘密の部屋。」
「学習棟に地下なんて、あるんですか?」
「俺等が作った(笑)」
「「はいっ!?」」
「っつっても、元々あった場所を俺等で改造しただけだけどな。」
紅様は、ひどく楽しそうに笑いながら俺達を見ていた。
"俺達"とは、恐らく陛下とそれから同期生のお三方。
懐かしき青春時代に作った思い出の場所なのかもしれない。
もしかしたら、陛下を含め紅様方はかなりの問題児だったのかもしてないと思った。
その片鱗が、悪ガキのような含み笑いに透けて見える。
今は、誰よりも凛としていらっしゃる陛下も……もしかしたら。
「無くすなよ、それ予備ねぇようなもんだから。」
紅様の視線が、その鍵に注がれる。
他の誰も知らない、秘密の場所……。
紅様方の思い出が詰まった部屋。
手の中で、その赤茶の鍵がズシリと重味を増した。
俺と藤ヶ谷だけの、秘密の場所。
その日から、それは宝物になった。
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流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪ヽ(´▽`)/もう、その頭の中で映像が描ける感性が素敵ですねっ(≧∇≦)SIZUKUさんを含め、皆様の妄想力に助けられております、はい(笑)続きも頑張りますo(^o^)o (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます(#^.^#)世界観、わかって頂けて嬉しいです♪♪あー…ですよねぇ?(笑)徐々に歪み始めてるのに、全く気付いてないですよね、赤い人(笑)頑張って更新しますので、お付き合いよろしくお願い致します♪ヽ(´▽`)/ (2018年3月22日 17時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 流華さーーん!このお話が私の頭の中で映像化されていってます。細かな心情や風景の描写が映像を鮮明にしてます。また現実とリンクして私の頭も心も忙しいです笑 続きが楽しみです。移行前にもう一度初めからおさらいしておこうかな。 (2018年3月21日 15時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - はじめまして!壮大なお話でその世界にどっぷり浸かっちゃってます。7人の歌うたいのこれからがきになるとこですが、それよりも藤ヶ谷さんと北山さんの関係が気になって…早く気づいてあげて北山さん!これからの展開も楽しみです! (2018年3月20日 22時) (レス) id: 9cddd8b82f (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ましろさん» ドストライクだなんて、恐縮です(汗)もう、書きたいものを気の向くままにだらだらつらつら書いてるだけですから(^_^;)そんな文章からそこまで感じ取ってくれるましろさんの感性が大好きです♪♪♪続き、頑張りまーすo(^o^)o (2018年3月19日 16時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年3月1日 16時