※ ページ32
.
甲斐さんに言われてカウチソファに座る際に、少し悩んだけれど足を投げ出して片腕を伸ばして背凭れにかけた。
今日の撮影のコンセプト、男子禁制の"Boudoir"に居座る男らしくなるべく尊大に。
そしてそのまま、頭の中でコンセプトを広げていく。
ここは、男子禁制のブドワール。
見つかればただでは済まないここに、それでも秘密裏に訪れる理由は。
♪─────────･･･
目の前で背を向けて美しい音色を奏でる愛しの貴方に心を奪われているから。
存在さえしない女性を想像する必要などない。
そこにいる北山に対する想いで充分だ。
存分に鍛えられたはずの体躯は、何故かしなやかで儚く。
今日のオーバーサイズの衣装がいつもより更に北山を華奢に見せていた。
昔のような少年の細さはないのに、代わりに得も言われぬ彩なる艶がそこにある。
昔はもっと細かった。
この胸に宿る想いが、真っ白だったはずのあの頃は。
初めて会った時の事は、実際あまり覚えていない。
ただ、あの年齢で入ってくるのはとても珍しくて、話題に上がることは多かったような気がする。
下手をすれば、辞めていく奴が増えるくらいの年齢で。
しかも、北山は童顔で少年にも見えたし、素直に笑ったり怒ったりする様が幼さの色を濃くした。
その姿を面白いと思って好感を持ったのは覚えている。
だから、歳は上でも事務所の先輩として見守ってやる…くらいの気持ちでいた。
何なら、その小さな身体を守ってやるとさえ。
けれどそれは、俺の思い上がりだと気が付くのに、そう時間はかからなかった。
北山は、強かった。
その幼く可愛らしい顔に似合わず、まごうことなく漢で。
ただ前を見据え、転んでも、傷付いても、何ひとつ諦めない。
満身創痍になりながらも、その瞳の輝きだけは欠片も損なわれることなく。
ただ、前へ前へと進んでいく。
気が付けば、北山は恐ろしいほどのスピードで俺の隣へと追い付いてきた。
そうなった時、俺は初めて北山の心の内側に興味を持った。
童顔で、チャラく、明るい･･･そういった表面的なものに紛れ隠されている本質。
その強さ、プライド、優しさ。
前を向き続ける北山の真実に触れて、出来るなら……共に在りたいと思ったのを覚えている。
あの頃はまだ、確かに真っ白な想いだった。
純粋でキラキラと輝くような────･･････
思慕だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 634人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流華(プロフ) - さゆさん» さゆさん、こんにちは。コメントありがとうございます。表現と描写は、本当に気を遣っている部分なので、そこを誉めてくださると嬉しくて更に頑張ろうと思えます。活力をくださってありがとうございます。今後も頑張りますので、移行後もよろしくお願い致します。 (2021年9月17日 18時) (
レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ユキさん» あははー。良いところで狙って切る癖は、今も健在です(笑)でも、ホントにこのお話はノリとか勢いで書き始めたところがあるので、そんな感じに軽いです(笑)上質と仰っていただけること、本当に嬉しいです♪♪今後もお付き合いくださいませー♪ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 言葉の遣い方がとても綺麗で、文字数が多いのに一言一句しっかりと目で追ってしまいます！本当に素敵です！移行先でも楽しみにしています！ (2021年9月12日 14時) (レス) id: 4e568979a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - うわ！そこで移行ですか！！！笑 めっちゃ気になりますーー！上質なお話を読んでいたのに「面白いそー♪」って流華さんのノリの温度差に笑ってしまいました笑 続き楽しみにお待ちしてます☆ (2021年9月12日 13時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーん♪♪にゃはは〜だって、狙って切ってますもん(笑)読み返してくれたんですか!？嬉しーです♪♪今回は伏線無しだから、謎とかも無いですけど楽しんでくれたら十分です♪sioriさんが読んでると気合いも入るので!!! (2021年9月12日 12時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流華
| 作成日時：2021年8月11日 13時
