※ ページ3
.
「うわー!!!すげぇ、ピアノあんじゃんっ!!!千賀、弾いてみなよっ!!!」
「え、触っていいのかな、これ。」
「大丈夫っしょ?置いてあるんだし。」
窓辺から移動し、玉と二人でマントルピースに凭れながら緩く会話をしていると、広間の中央に置かれた黒々と輝くグランドピアノに最年少コンビがわちゃわちゃし始める。
宮と渉は、俺と玉がさっきいたバルコニー近くの窓から外を見ていた。
恐らくはあの庭を堪能しているのだろう。
そして、北山はスタッフと話し込んでいる。
見たことのない、モサッとした感じのスタッフ・・・もしかしたら、あの人が今日の監督だろうか。
そんな五人も、もちろん真っ白なフォーマルスタイルだ。
「え、何これ!?」
「1ヶ所鍵盤が黒いよ!?」
玉と緩く会話を続けながら、見るともなく最年少コンビが視界に入っていた。
ニカと千ちゃんが広間の中央にあるグランドピアノの蓋を開けて、フェルトのキーカバーを外した瞬間に叫んだ。
俺のところからも、それは見えた。
鍵盤に向かって左端の五つほどの白鍵が黒く塗られている。
まるで、脇の拍子木と一体化しているように。
何だあれ・・・と、疑問に思った時だった。
角度的に、それが見えていたのは俺と玉だけだろう。
千ちゃんの声が響いた瞬間、スタッフと話し込んでいた北山が凄い勢いで振り返った。
そして。
「千賀、ストップっ!!!触んなっ、それっ!!!」
その場にいた人間全てが驚くほどの大声を上げた北山に、全員が固まり視線が集中する。
しかし、先程まで北山が話し込んでいた人物だけは、面白そうに笑って北山を見ていた。
「ミツ?何?どうしたの?」
「あ、ああ、悪い、大声出して・・・。」
渉が窓辺からピアノに近付きながら北山に声をかけて。
それに返事をしながらも、北山は何処か上の空の瞳で吸い込まれるみたいにピアノに近付いた。
「ミツ?」
そんな北山の様子に眉を顰めながらニカが声をかけても、北山はピアノから目を離さない。
ゆっくりと、その黒い鍵盤に触れて一番端の一音だけ弾いた。
♪"───────・・・・・・
唸るような低い音が響く。
あまりに音が低くて音程がよくわからない。
こんなピアノの音は、初めて聞いた。
634人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流華(プロフ) - さゆさん» さゆさん、こんにちは。コメントありがとうございます。表現と描写は、本当に気を遣っている部分なので、そこを誉めてくださると嬉しくて更に頑張ろうと思えます。活力をくださってありがとうございます。今後も頑張りますので、移行後もよろしくお願い致します。 (2021年9月17日 18時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ユキさん» あははー。良いところで狙って切る癖は、今も健在です(笑)でも、ホントにこのお話はノリとか勢いで書き始めたところがあるので、そんな感じに軽いです(笑)上質と仰っていただけること、本当に嬉しいです♪♪今後もお付き合いくださいませー♪ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 言葉の遣い方がとても綺麗で、文字数が多いのに一言一句しっかりと目で追ってしまいます!本当に素敵です!移行先でも楽しみにしています! (2021年9月12日 14時) (レス) id: 4e568979a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - うわ!そこで移行ですか!!!笑 めっちゃ気になりますーー!上質なお話を読んでいたのに「面白いそー♪」って流華さんのノリの温度差に笑ってしまいました笑 続き楽しみにお待ちしてます☆ (2021年9月12日 13時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーん♪♪にゃはは〜だって、狙って切ってますもん(笑)読み返してくれたんですか!?嬉しーです♪♪今回は伏線無しだから、謎とかも無いですけど楽しんでくれたら十分です♪sioriさんが読んでると気合いも入るので!!! (2021年9月12日 12時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:流華 | 作成日時:2021年8月11日 13時