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中也side
頭を撫でているとAはいつの間にか、静かに寝息を立てて眠っていた。
俺のもう片方の手は、Aに握られたままだ。
こんな風にAが、縋りついてきたのは久しぶりだ。
連日の任務で相当キていたのだろう。
此奴の任務は色仕事が多い。
Aは、男と近距離で触れ合うことを怖がる。
だが、本人は仕事だと割り切って頑張っているようだが、その我慢が切れるとこうやって俺のところに来る。
以前はもっと酷く、家に来るなり必ずすぐ泣いていたが、今ではこんな感じだ。
俺とこんなに近距離でも大丈夫だというのは、俺たちはまだガキの頃から一緒に居たからかもしれない。
つまり、俺は男として見られてない。
だが、俺だって男であり、俺は此奴を女だと思っている。
さっきみたいに無防備な姿をされると、俺はいつも自分の理性と戦うことになる。
まあ、それほど気を許してくれるというのは悪い気はしないが。
だが、俺たちは恋人ではない。
だからと言って兄妹かと言われても、そうではない。
とても、複雑な関係だ。
俺は此奴のことが好きだ。
餓鬼の頃から好きだった。
だから、此奴を守ると決めた。
だから、一線を越えて、恐怖を与えてはいけないんだ。
此奴が俺のことを思っていなくても、
此奴は俺の大切な奴だから。
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作者名:くじら | 作成日時:2020年5月18日 0時