fourty-one ページ42
太宰side
森さんへの報告を済ませたであろうAは、張り詰めていた気持ちが切れたようで、とても苦しそうに泣いていた。
彼女が手を伸ばしていた携帯電話。
中也に電話をかけようとしたのだろう。
当たり前のごとく、気に食わないと思ったさ。
だけどね、私と中也の間に唯一共通点が生まれるとしたら、それはAのことだ。
長い付き合いである私たちにとって、彼女は守るべき存在、”お姫様”だった。
腕に中で眠る彼女は、哀れなお姫様だ。
その姿は昔と変わらないものがある。
四年たった今でも、私にとって彼女は、愛おしく、美しいお姫様なのだ。
『..ちゅ、や...。』
ポツリと呟くA。
「あんな蛞蝓のどこがいいのかい・・・と聞きたいところだが、君にとっては愚問だよね。」
認めたくはないが、事実として、私より中也のほうが彼女といた時間は長い。
「まったく君は、罪なお姫様だね。」
私は、そっと彼女の額に接吻をした。
そして私は思い出す。
私たちが過ごした時間を______________
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作者名:くじら | 作成日時:2020年5月18日 0時