thirty-one ページ32
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眩しい。
目隠しが外された。
痛い。
縛られていた手も、自由になった。
私の体は、まだ熱い。
息も荒い。
体は時々、ビクリと、反応してしまう。
力が入らない。
涙が目に膜を張っている。
理性は切れそう。
本当は切れているのかもわからない。
ただ、任務は終わっていない。その一心で呼び起こす。
『..っ...あず、ま、さんっ。』
私は、彼の頬に手を添え、うるんでいるであろう目を合わせる。
お願い。異能力、発動して。
強く思う。
『____眠ってっ。』
バサリッ_______
私が異能力を発動したとたん、彼は私に覆いかぶさるように倒れてきた。
異能力が使えたのだ。
抑えられない安堵感。
『ハァッ、ハァッ_______』
抑えられない体。でも、何とか巻き散らかされていた服を身につけ、立ち上がる。
肌に擦れる布の感触にさえも、今の私は声を漏らしてしまう。
それでも、証拠を探さなければ。
ふらふらとまともに立てない足で、何とか立ち上がり。
机の中の書類、USB。パソコンの中のデータ。隠し扉の中にあるデータ。設置されていたカメラ。
彼の衣服の仲も調べ、全てを調べた。
頭がおかしくなりそうで、意識が飛びそうになったら、置いてあったカッターで普通は見えないであろう、太ももを刺し、気を取り戻した。
『これだけ、あれば、十分。..はぁっ、帰ろう。』
首領室の前には見張りがいる。
窓から出ようと考えても、ここは地下。
.....演じよう。
私は大きく深呼吸をする。
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作者名:くじら | 作成日時:2020年5月18日 0時