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どこか熱が籠った吐息が部屋の中に響く。
それは私のだ。
『んっ..はぁっ、んぅっ...』
東は私の体を弄ぶ。
指で、舌で。私の脳みそをかき乱そうとしてくる。
私はそれに抗った。
理性を一瞬で飛ばすような快感にも、無理やり理性を呼び止め流されまいとした。
『んんっ..だめっ..あぁっ』
どれだけ果てたふり、または実際に果てようと、彼は満足しなかった。
ずっと、ずっと真っ暗闇でただ快楽に襲われる自分。
おかしくなりそう。
大丈夫。終われば、中也が待っていてくれる。そうあるはずのない希望で理性をたたき起こし、耐える。
東が、満足し、拘束を解いてもらえてら、異能力で彼を眠らせよう。そう決めていた私には、不安があった。
それは、もし、異能力が制御できず、彼を眠らせられなかったらどうしようという不安だ。
最近、異能力を制御できない時がたまにある。
今までは何とか切り抜けてきたが、東相手は、少々難がある。
...早く。早く、終わってっ。
もう体は熱い。
理性もギリギリつなぎとめているだけ。快楽と不安で飛んでしまいそうだ。
『..あっ!』
追い打ちをかけるような快楽。
この感覚は覚えがある。
彼は、私に薬を盛ったんだとわかった。
どうして気づけなかったんだろう。悔しい。
息が荒くなる。益々体が熱い。もう何も考えたくない。
苦しい。体が嫌でも疼く。
それからも、何度かもわからない快楽が、私を襲った。
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作者名:くじら | 作成日時:2020年5月18日 0時