あっちで待ってる ページ44
ーー数年後。
朝から忙しなく、私は家の中を動き回っていた。
A｢徹ー！行ってくるわ！｣
玄関で靴を履きながら徹に呼び掛けると、少し前に起きたばかりの徹がぺたぺたと玄関まで歩いてくる。
及川｢気をつけてね｣
A｢うん。朝ごはん用意しといたから冷めないうちに食っちゃって｣
徹は、ありがとう、と微笑むと、私の頬に手を添えて優しく触れるようなキスを落とした。
A｢頑張ってね、徹｣
及川｢Aちゃんも｣
視線を絡ませ、もう一度唇を重ねたその時、ふと玄関のインターホンが鳴った。
朝から訪ねてくるなんて誰だろうとドアを押し開けると、そこには今日も金髪碧眼が眩しい親友の姿があった。
A｢エマ！！｣
駆け寄ってその胸に飛び込めば、ホントAは子供みたいね、とエマはくすりと笑いながら私を抱き締めた。
エマ｢《間に合って良かったわ。貴方緊張してるんじゃないかと思って》｣
A｢《うん。昨日までは平気だったんだけど…》｣
エマ｢《大丈夫、Aならできるわ。ここから応援してる》｣
A｢《…ありがとう。頑張ってくる》｣
エマの肩口に顔を埋めてぐりぐりと擦り寄っていると、コンコンとドアを叩くノック音とゴホンとわざとらしい咳が聞こえて顔を向けた。
及川｢《愛しの旦那様は放置ですか》｣
徹は玄関のドアを背に不満気な顔を浮かべると、エマを思いっきり指さし、大体さぁ！と切り出した。
及川｢《エマは俺とAちゃんの邪魔ばっかしすぎ！》｣
エマ｢《徹はまたあっちで会うからいいじゃない》｣
及川｢《でもしばらくは顔合わせらんないんだよ！？夫婦の貴重な時間奪わないでくれる！？》｣
エマ｢《結婚してもそうやって毎日ベタベタしてると飽きられるわよ》｣
及川｢《そんなことないし！！》｣
徹はそう言いながらも、
え？ちょっと待って。ないよね？大丈夫だよね？
と不安そうに私に尋ねてくる様子がおかしくて吹き出す。
A｢今日も安定の徹だわ｣
及川｢ねぇどっち！？｣
A｢あっ、やべっ。時間だから行くわ｣
ねぇ無視！？と騒いでいる徹に背を向けると、大きなスーツケースの持ち手をぎゅっと握り込んだ。
走り出した私の背中に、転ばないようにね！と徹が声を掛ける。
私は徹を振り返ると、近所迷惑にならない程度に大きな声を張り上げた。
A｢あっちで待ってる！！｣
愛しの旦那様と大切な親友に見送られ、私はアルゼンチンの街を走り出した。
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於音###(プロフ) - 最高でした。泣きました。笑いました。秒で読んでしまいました。青城最高！及川最高！後輩ちゃん最高！！素晴らしい作品をありがとうございました🥰🥰 (2月29日 1時) (
レス) @page49 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - あめさん» あめさんこんばんは！コメントありがとうございます！超絶長編作品を最後まで読んで頂くどころか泣いてくれるなんて…バチクソ嬉しいです🥺番外編についてですが、そろそろ鍵を外す予定でしたので、先程全体公開の方させて頂きました。確認お願いします。 (2022年3月20日 2時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
あめ - とても面白かったです！ちょっと泣いちゃいました…((続編のパスワードってなんですか…？是非読ませていただきたいのですが… (2022年3月19日 20時) (レス) @page50 id: aca36a2c7b (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 善さん» 善さんコメントありがとうございます☺️good boyに思わずワロてしまいましたwwそして、親戚の犬の褒め方がgood boyだったなと懐かしくなりました。 (2022年2月24日 19時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 諦めない侑に、good boy (2022年2月24日 19時) (レス) @page49 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2021年8月18日 9時
