【及川徹落ち】18000キロメートルの恋 5th【黒尾鉄朗】

脱がして ページ5

▲▼黒尾 side


黒尾｢…何してんの｣

A｢え…？あついから…｣


水を持って戻ると、玄関でストリップショーを始めていたAがいて思わず目を疑った。


黒尾｢俺いんの分かってる？｣


お腹まで捲られたキャミソールを下に引っ張りながら尋ねると、Aは何言ってんだこいつみたいな顔をさせた。


A｢ブラつけてるし…そんな生チチ晒すわけじゃないんだからあー｣

黒尾｢生チチて…言い方な｣


つくづく思う。

気づかずに酒飲まされてラブホに連れ込まれそうになってるし、彼氏以外の男の前で平気に下着姿になろうとするし、どう育てられたらこんなに恥じらいも警戒心もねー女に育つんだ…？

こいつはおかしい。
そんでそんなおかしい女に惚れた俺も大概おかしい。


A｢くろおー｣


コップの中の水を空にしたAが間延びした声で俺を呼ぶ。
どーした？と俺はAのそばでしゃがみ込んだ。


A｢脱がして…｣


ゴンッ！！


衝撃的な言葉に玄関の壁に頭をぶつける。
痛む頭を手で抑えながら、は？何を？と動揺していると、


A｢ぬげない…これ｣


Aはまだ履いたままでいた靴を指さして、俺はガクッと肩を落とした。

あー…ハイハイ、靴のことね、とため息を零して、Aのスニーカーを足から引っこ抜いた。


A｢ありがとお｣


Aはふらりと立ち上がるとおぼつかない足取りでベッドへ向かう、かと思いきや、途中で方向転換して、洗面所へと入っていった。

酒飲むと何かとやらかすから寝るまでは見張っとくか…とおそらく手を洗いに行っているであろうAをリビングで待っていると、


ジャバジャバジャバジャバ…


洗面所で水を使っているにしてはでかい水がぶつかる音が聞こえてきた。

立ち上がって音のする方、脱衣所の向かいの風呂場へと足を向ける。

中を覗くと、そこにはワイドパンツを脱衣所で脱ぎ散らかして、下着とキャミソール姿で、湯船にお湯を溜めているAの姿があった。


黒尾｢…今度は何してんだ？｣

A｢へ…？おふろはいる｣

黒尾｢お前今風呂浸かったら死ぬぞ…？｣


やめとけ、とAの腕を掴むと、Aはムッとした顔をして俺の手を振りほどこうとした。


A｢はにゃせ！はいるの！｣

黒尾｢明日にしろ！｣


浴槽の縁に足をかけてばたばたと抵抗するAを止めようと格闘していると、


ドボン！！


Aが足を滑らせて、浴槽に落ちた。
俺を道連れにして。

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