【及川徹落ち】18000キロメートルの恋 5th【黒尾鉄朗】

ナイスコントロール ページ35

岩泉にしがみついていると、徹が視界の端でわなわなと手を震わせていることにふと気がついた。


及川｢岩ちゃん！？なにAちゃんに抱き着いてるの！？ベタベタするのやめてくれる！？｣

岩泉｢アホか！！どう見てもベタベタされてんの俺だろうが！！｣


…ったく頭来たわ、と言いながら岩泉は私をあっさりと引き剥がすと、しゃがみこんで雪をかき集めてそれを丸め始めた。
ギュッギュッと思い切り握ってカチカチの雪玉を作っている。


岩泉｢…花巻、松川。抑えとけ｣

花巻｢りょーかーい｣

松川｢よし来た｣


花巻と松川はニヤニヤと笑いながらそれぞれ徹の右腕と左腕を掴んで逃げられないように拘束した。


及川｢えっ、ちょ…、二人とも友達だよね？ねぇ？聞いてる？あの、｣

岩泉｢死ね、クソ川！！｣

及川｢ぶへっ！！｣


岩泉の豪速球が風を切り、徹の綺麗な顔面へと雪玉がクリーンヒットする。


国見｢うわ痛そう…｣

真夜｢ナイスコントロール｣

金田一｢コラ褒めんな｣


徹は顔に付いた雪をぶるぶると振るい落とすと、岩泉に抗議をした。


及川｢ちょっ…痛いんですけど！！いくらなんでも顔はあんまりだよ！！｣

岩泉｢うるせぇ！！お前のせいでどれだけ俺が大変だったと思ってんだクソ川！！黙ってやられてろ！！｣


岩泉は再びしゃがみ込むと雪玉を作り始め、そこに近くにあった小石を詰め始める。


及川｢ちょっ、ちょっと岩ちゃん！？中に石詰めるのも無しだよ！？ねぇ聞いてる！？やめて！？｣

A｢ふっ…ははっ、あははっ！！｣


青ざめた顔で必死に岩泉に話しかける徹がおかしくて、大口を開けて笑った。


及川｢Aちゃんも笑ってないで助けてくれる！？俺の味方どこ！？｣


だって面白いんだもん！と腹を抱えてゲラゲラ笑っていると、私の身体に雪玉がぶつけられる。
飛んできた方を見ると、徹を解放していた花巻がニヤニヤと笑っていた。


A｢…やりやがったな…このピンク頭が｣

真夜｢許せないですね、あのピンク頭｣

A｢やっちゃう？｣

真夜｢やりましょう。やっちゃいましょう｣


真夜ちゃんと顔を見合わせてニヤリと笑う。
雪玉を作ると、一直線に駆け出した。

そうして上手いことどこかへ逃げた国見ちゃんを除いたみんなで雪合戦が始まる。
体力の限界が来るまで、雪の中を私達は子供みたいに遊び回っていた。

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