出逢えてよかった ページ15
▲▼黒尾 side
Aの部屋を出た後、足が向かったのは自分の家ではなく、幼なじみの家だった。
研磨「…クリスマスにフられにいくってバカじゃないの?」
自分の家のように床で転がっている俺の話をゲームをしながら聞いていた研磨が呆れたような声で言った。
黒尾「…どこがバカなんだよ」
研磨「だって…これからクリスマス来る度に思い出して憂鬱になるよ…それ」
黒尾「あー…確かに。これから毎年クリスマスが来る度にリア充片っ端からぶん殴りたくなるかもしんねー」
研磨「せめて日にちズラしたら良かったのに…」
黒尾「ズラしたとしても失恋の痛みは軽くなりませーん」
拗ねたような口調で言うと、研磨は相手にするのが心底面倒臭いといった様子で目を細めた。
黒尾「つーか、わざとだよ。クリスマスにしたの」
研磨「え…」
黒尾「俺、あいつのことすげー好きだったから記憶に焼きつけようと思って」
研磨「………ドMなの?」
黒尾「ばっか、ちげーよ」
ガキみたいな泣き顔も、汚い言葉ばかり飛び出す声も、震える小さな手の温度も、香水とは無縁なのに女らしい匂いも、全て何一つ忘れないで覚えておきたかった。
全ての出来事には意味がある。
生きてくってことはその意味を理解するってことだと思う。
こんなに辛い想いをしたから、もう二度と恋なんて嫌だとネガティブに捉えることなんか、俺はしない。
この辛さが自分を成長させてくれる底力になるとプラスに捉える。
そうでもしねーとやってらんねぇし、苦しいだけじゃなかったからそう思えた。
黒尾「俺今すげー凹んでんだけどさ、思い返すと嬉しかったこととか楽しかったことばっか思い出すんだよな、不思議と」
研磨「…ふぅん。Aって変な人だもんね」
黒尾「ふは、確かに。ホント変な女だったなー…あいつは」
ーー“うわーーーん!!どーせ私の乳は日本サイズだよ!!ボインじゃなくて悪かったな!!”
あの日、公園で泥酔して、泣き喚いていたAを思い出してふっと笑った。
あの夜、お前に話しかけてよかった。
俺のもんにならなくても、お前の隣を歩けなくなっても、俺は後悔なんかしてない。
ーー俺は、Aに出逢えてよかった。
…まぁ、でも、
黒尾「当分恋愛したくねー」
研磨「…ストレス発散、付き合うよ」
黒尾「マジで?じゃあ久々に一緒にバレーしようぜ」
研磨「………それはちょっと」
黒尾「何でだよ。付き合うって言っただろさっき」
研磨「…事による」
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於音###(プロフ) - 最高でした。泣きました。笑いました。秒で読んでしまいました。青城最高!及川最高!後輩ちゃん最高!!素晴らしい作品をありがとうございました🥰🥰 (2月29日 1時) (レス) @page49 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - あめさん» あめさんこんばんは!コメントありがとうございます!超絶長編作品を最後まで読んで頂くどころか泣いてくれるなんて…バチクソ嬉しいです🥺番外編についてですが、そろそろ鍵を外す予定でしたので、先程全体公開の方させて頂きました。確認お願いします。 (2022年3月20日 2時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
あめ - とても面白かったです!ちょっと泣いちゃいました…((続編のパスワードってなんですか…?是非読ませていただきたいのですが… (2022年3月19日 20時) (レス) @page50 id: aca36a2c7b (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 善さん» 善さんコメントありがとうございます☺️good boyに思わずワロてしまいましたwwそして、親戚の犬の褒め方がgood boyだったなと懐かしくなりました。 (2022年2月24日 19時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 諦めない侑に、good boy (2022年2月24日 19時) (レス) @page49 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スナック杏月 | 作成日時:2021年8月18日 9時