東京でできた一番の友達 ページ14
私の答えが分かっているかのような言葉。
息ができないくらい、胸が詰まった。
苦しくて苦しくて、抑えようと思ったのに嗚咽が洩れた。
私に泣く資格なんて、ない。
黒尾を差し置いて、そんなことできない。
なのに、涙も声も止めどなく溢れた。
ーーもし黒尾と付き合ったら、優しく甘やかされて、いつも自然体でいられるような、そんな未来になったのだろうか。
A｢ごめ…、わたし、くろおとは付き、あえない、ごめん、｣
黒尾｢…分かってる｣
A｢わたし、とーるが好き…、だからもう、誰ともつきあえない…｣
黒尾｢それも分かってる。気づいてたわ。勝ち目なんかねーって。…お前はいっつも彼氏しか眼中になかったから｣
私が求めてるのは黒尾の手じゃない。
胸の奥には徹への想いが疼いている。
そして、それはきっとこれからも変わらない。
黒尾が私を抱き締める。強く、強く。
もうお前には会いに来ない、と黒尾が私の耳元で言った。
その言葉が胸にずしりと重くて、下唇を噛むと、黒尾がぐしゃぐしゃと私の髪を撫でた。
黒尾｢…んな顔すんなよ。なんかお前とは別れてもまたどっかで会う気がするし｣
A｢なにそれ、てきとーな…ことばっか…っ、｣
黒尾｢予感だよ、予感｣
A｢…くろお｣
黒尾｢ん？｣
A｢くろおがいなかったらわたし…っ、ひとりで、潰れてた…。黒尾がいたから、自分のきもちを…大事にできた…、くろおはいつもわたしを支えて、大切なことに…気づかせて、くれた…、｣
黒尾｢…そんなことねーよ。俺は何もしてねーし｣
黒尾にぶんぶんと首を横に振る。
何もしてないわけがない。
黒尾はいつだって私を見捨てないで向き合ってくれたんだ。
A｢あの日の夜…、公園で、わたしのこと、見つけてくれて…、バカなわたしを好きになってくれてありがと…っ、｣
ごめん、気持ちに応えられなくて。
でも、どうして伝えたかった。
…さようなら黒尾。
もしまた会えるんだとしたら、次はお互い違う気持ちで笑って話せるといい。
黒尾｢A、悩む前に動け。そっちがお前に合ってるから｣
黒尾が私の背中を子供をあやすみたいにして叩いた。
黒尾｢バカになれ、A｣
私はこの先、一生、東京でできた一番の友達のことを忘れない。
黒尾の優しさも、暖かさも、言葉も、全部胸に刻んで未来の私へ持っていく。
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於音###(プロフ) - 最高でした。泣きました。笑いました。秒で読んでしまいました。青城最高！及川最高！後輩ちゃん最高！！素晴らしい作品をありがとうございました🥰🥰 (2月29日 1時) (
レス) @page49 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - あめさん» あめさんこんばんは！コメントありがとうございます！超絶長編作品を最後まで読んで頂くどころか泣いてくれるなんて…バチクソ嬉しいです🥺番外編についてですが、そろそろ鍵を外す予定でしたので、先程全体公開の方させて頂きました。確認お願いします。 (2022年3月20日 2時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
あめ - とても面白かったです！ちょっと泣いちゃいました…((続編のパスワードってなんですか…？是非読ませていただきたいのですが… (2022年3月19日 20時) (レス) @page50 id: aca36a2c7b (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 善さん» 善さんコメントありがとうございます☺️good boyに思わずワロてしまいましたwwそして、親戚の犬の褒め方がgood boyだったなと懐かしくなりました。 (2022年2月24日 19時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 諦めない侑に、good boy (2022年2月24日 19時) (レス) @page49 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2021年8月18日 9時
