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お前にフられに来た ページ13

ケーキを食べ終え、カップの中のコーヒーも空になった頃、黒尾が大事な話をするかのようにして切り出した。


黒尾「俺さ、来年のクリスマスもこうやってお前と過ごしたいんだけど」

A「…え?」


黒尾との“来年”があってもいいの?

戸惑いながらも、私も、と答えると黒尾は苦い顔を浮かべた。


黒尾「そうじゃねーよ」


私の手に、黒尾がすっと寄り添い、自分の手を絡めた。
指を重ねる、恋人同士の手の繋ぎ方に驚いて私は黒尾に顔を向ける。


黒尾「彼女としてお前に隣にいてもらいたいんだけど」

A「は、」

黒尾「好きだ、A」


黒尾のその真剣な目に嘘なんてひとつも無いって分かる。

分かるけど、その言葉は私の中に落ちては来なくて、酷く現実味が無かった。

…待って。待って。

舌が凍りついて固まっていたかのように、声を出すまで時間がかかった。


A「ちょっと待って…、だってそんな…、黒尾は友達で、」

黒尾「俺は始めっからお前のこと好きだったよ」

A「冗談だよね…?」

黒尾「ちげーよ」

A「だって黒尾…水族館行った時好きな女の子いるって…」

黒尾「バーカ。あれお前のことだから。この鈍感女」


黒尾が私を好き…?始めから…?

顔から血の気が引いていく感覚。

黒尾が今までどうしてこんなにも私に優しくしてくれていたのか。
その意味をようやく今知る。

そんな…、だとしたら私は今まで、


A「ごめん。ごめん…黒尾。ごめん。 私、黒尾の気持ち気づかなくて…ごめん、バカだ私、」

黒尾「もういい。いいから謝んな」


私の震える両手を黒尾が優しく包み込む。
その手の暖かさにじわりじわりと涙が溢れ出し、黒尾の手の上に小さな水溜まりを作った。


A「わたしっ、こんなの…ひどい、さいてーだ…」


私はあまりにも鈍感で、無神経だった。
黒尾の優しさにいつも甘えてたんだ。


黒尾「いーよ、べつに」


黒尾が私の頭を撫でながら、ふっと笑った。

どうして笑えるのだろう。
ものすごく傷つけたのに、どうして。


黒尾「今日はお前にフられに来たから」

東京でできた一番の友達→←ブッシュ・ド・ノエル



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設定タグ:ハイキュー , 及川 , 黒尾   
作品ジャンル:アニメ
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於音###(プロフ) - 最高でした。泣きました。笑いました。秒で読んでしまいました。青城最高!及川最高!後輩ちゃん最高!!素晴らしい作品をありがとうございました🥰🥰 (2月29日 1時) (レス) @page49 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - あめさん» あめさんこんばんは!コメントありがとうございます!超絶長編作品を最後まで読んで頂くどころか泣いてくれるなんて…バチクソ嬉しいです🥺番外編についてですが、そろそろ鍵を外す予定でしたので、先程全体公開の方させて頂きました。確認お願いします。 (2022年3月20日 2時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
あめ - とても面白かったです!ちょっと泣いちゃいました…((続編のパスワードってなんですか…?是非読ませていただきたいのですが… (2022年3月19日 20時) (レス) @page50 id: aca36a2c7b (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 善さん» 善さんコメントありがとうございます☺️good boyに思わずワロてしまいましたwwそして、親戚の犬の褒め方がgood boyだったなと懐かしくなりました。 (2022年2月24日 19時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 諦めない侑に、good boy (2022年2月24日 19時) (レス) @page49 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スナック杏月 | 作成日時:2021年8月18日 9時

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