もう文句ねーよな？ ページ46
▲▼岩泉 side
Aが苦しげに息を吐き出しながら俺の名前を呼ぶ。
必死に何かを伝えようとするAに俺は耳を傾けた。
A｢私のことはいい…っ、から…、とーるを支えて…っ、あげ…て、｣
涙をぼろぼろと零し、しゃくり上げながらAは言った。
ーー“俺のことはいいからさ、日本に帰ったらAちゃんのこと支えてあげてくれないかな？”
A｢おねがい…っ、いわいずみ…、｣
ーー“頼むよ…岩ちゃん”
あぁ、とため息を吐き出す。
胸が詰まるような想いがした。
数日前の、電話口での及川の言葉とAの言葉が重なる。
…二人して同じこと言ってんじゃねぇよ、ボゲ。
岩泉｢わーってるよ｣
堪らずAの頭を少々乱暴に掻き撫でて、自分の胸に押し付けた。
分かってないじゃん。だから私じゃなくて徹を支えてやってよ。ねぇ、岩泉。
胸の中でそう繰り返すAに、もういいから黙っとけ、とさっきよりも強く抱き寄せたその時、
ピンポーン。
インターフォンが部屋に鳴り響いた。
手を緩めると、Aがふらりと俺の胸から抜け出して、躊躇いなくドアノブに手を掛ける。
岩泉｢…いい。俺が出る。つーかそんなぐしゃぐしゃの顔で出ようとすんな｣
A｢…だいじょぶ…、たぶん黒尾だから…｣
Aは手の甲でぐいっと涙を拭うと、ガチャリと扉を開ける。
そこにはAの言う通り、相変わらず個性的な髪型をした黒尾が立っていた。
黒尾｢まーた泣いてんのかよ、お前は｣
A｢…うん｣
黒尾｢あれ？つーか、岩泉じゃん。久しぶりー｣
黒尾はAの頭をポンポンと撫でながら、その後ろにいた俺に胡散臭い笑顔を浮かべながらヒラヒラと手を振った。
黒尾｢お前いつ帰ってきたの？｣
岩泉｢帰ってきたばっかだけど｣
黒尾｢…ふぅん。もっとゆっくりしてくれば良かったのに｣
ニコリと笑う黒尾の、帰って来なければ良かったのに、という心の声が聞こえた気がした。
…ホント食えねぇヤツ。
黒尾｢あ。昼メシ買ってきたから食おーぜ｣
A｢あり、がと…っ、｣
Aが黒尾から袋を受け取って先に部屋の奥へと歩いてく。
その後を追って黒尾が靴を脱ぎ、俺の横を通り過ぎようとして、ふと足を止めた。
黒尾｢なぁ、別れたんならもう文句ねーよな？｣
この機会を虎視眈々と狙っていたデカい黒猫は、そう言ってニタリの口の端を吊り上げて笑った。
…どーすんだよ、及川。
ホントに盗られちまうぞ？
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杏月(プロフ) - しゅが〜さん» ずっと書きたかったシーンへと着々とフラグを立てていっております。是非たくさん妄想しまくって楽しみにして頂けるとバチクソに嬉しいです！いつも嬉しいコメントありがとうございます！ (2021年8月18日 9時) (
レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - ミキさん» 三角関係を書くのは楽しいですが少々心苦しいです…。岩ちゃんみたいな友達いたらそっちに揺らぎそうですよね。作者だったら岩ちゃんルート入りますね！最後はハッピーエンドを迎えられるように書いて行きたいと思っております！コメントありがとうございました！ (2021年8月18日 9時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
しゅが〜 - クリスマス､､､！何か起こるかな､､､。うわぁ〜楽しみ過ぎますね！及川さんと何かあるのか、クロと何かあるのか､､､もしかしたら何も起こらないかもしれない､､､。勝手に一人で想像して楽しんでますw (2021年8月17日 23時) (レス) id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - 及川さんもクロもどっちにも幸せになって欲しい…あと岩ちゃんみたいなお友達私も欲しいです。アルゼンチンに行ってやっと会えたのにすれ違ってしまって…なんだか切なくなります(..)とても面白いです！更新楽しみにしています！！ (2021年8月17日 21時) (レス) id: bc172cdec5 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - いちごミルクさん» 神だなんて恐れ多すぎます…！人たらし及川さんと食えない黒尾くんと鈍感夢主ちゃんの三角関係がどうなって行くか是非見届けて頂けると嬉しいです！励みになるコメントありがとうございます！ (2021年8月17日 19時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2021年8月3日 13時
