【青葉城西】及川さんとこの妹ちゃんは笑わない。2nd

なんで誰も止めない ページ6

及川「おっはよー☆岩ちゃん」

A「おうおう。岩ちゃんじゃねーか。おーっす」

岩泉「………おう」


作戦開始初日。
いつも通り、三人で朝練へと向かう。

待ち合わせ場所にいた岩ちゃんに男らしく挨拶をすると、岩ちゃんは戸惑っていた。


A「どうしたんだよ岩ちゃん。元気ねーじゃん。オラオラ〜」


岩ちゃんにそう言って、背中をバシバシと叩いて絡む。
ちなみにこれは西谷先輩を参考にした。


岩泉「おい…なんか違くねーかこれ？つーか、A髪ボサボサだな。ちゃんと鏡見たのか？」

A「寝癖なんか直さなくてもいいんだぜ。ありのままで行こうぜ岩ちゃん」

及川「そうだZE☆岩ちゃん」

岩泉「及川、お前何でAのこと止めなかった！」

及川「結局Aは何してても可愛いからいいじゃん」

岩泉「何か変な方向に行ってねーか…？」

A「何言ってんだよ岩ちゃん。作戦通りだぜ。な？兄貴」

及川「うんうん。その通りだZE☆」


昨日私が提案した作戦"うわっこいつ中身男じゃん！ないわぁ〜幻滅ぅ〜作戦"は、その名の通り、男らしく振る舞うことで相手に幻滅してもらって嫌われようという作戦である。

いつどこで見ているか分からないから、朝家を出た瞬間からこの調子を貫き通している。


岩泉「それにしても…こんなことで相手は諦めんのか？」

A「おいおい。やる前から諦めるなんて岩ちゃんらしくねーなぁ。どうしたよ」

及川「諦めたらそこで試合終了なんだZE☆岩ちゃん」

岩泉「及川…お前面白がってんだろ」


体育館に着いて、ネットを張ったりボールの準備をいつも通りこなしていると、いつも通り続々と部員がやって来た。

その度に、全員が私を見て戸惑っていた。


花巻「Aちゃん…何その髪？アート？」

A「おうよ。ナチュラルアートですぜ花巻先輩」

松川「これまた変な方向に出来上がってるわ」

金田一「………」

矢巾「金田一が言葉失ってんぞ」

渡「Aちゃん…無理しないでね」


渡先輩は憐れんだような目で見てきた。

頑張って仕上げてきたのに、その反応は地味に傷つく。

しばらくして、国見が、おはようございまーす、と飄々とした態度で遅刻してきた。


A「チーっすチスチス。また遅刻かよ国見〜。遅刻ダメだぜマジでマジマジ」

国見「…朝から何？煽られてる気がしてならないんだけど」

A「おらおら。いいから早く練習参加しろよ国見」

国見「………なんで誰も止めないんですかこれ」

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