早く追い越して ページ43
猛「なーなー、"カラスノ"って強いのー？」
約束の日曜日。
烏野の最寄りの停留所でバスを降りて、甥っ子の猛と手を繋いでてくてくと歩いていると、猛が私にそう尋ねてきた。
A「…うーん、昔は強豪だったみたいだけど、最近はあまり勝ち上がってきてないみたいだね」
猛「じゃあ"セイジョー"より弱いんだな！」
A「それはどうかなぁ？」
猛「？？」
ここのところちょくちょく烏野の練習を見ていたけど、とても弱いチームだとは思えなかった。
守備力には穴があるが、攻撃力はかなり高いと見た。
それに、以前練習試合をしたときより急成長を遂げている。
ーー何をしてくるか分からない、未知のチームだ。
猛「Aの"シショー"がいるんだろ？」
A「うん、そう。すごく強いよ」
猛「ふーん。じゃあ俺その人に教えてもらう！リベロなんだろ！？俺、リベロやりたい！」
A「…猛は、岩ちゃんみたいなエースになりたかったんじゃなかったの？」
猛「だって、中学のときのAすげーかっこよかったんだもん！」
猛は目をキラキラと輝かせた。
向けられた憧れの眼差しに苦しくなり、目を逸らそうとすると、
猛「俺もAみたいなリベロになりたい！」
猛はニカッと明るく笑って言った。
ーー重なる。
"私も西谷先輩みたいなすごいリベロになりたいんです"
…そう言っていたあの頃の私と。
私が西谷先輩に憧れたように、猛が私に憧れを抱いている。
胸がぎゅっと締め付けられたように痛くて、苦しくて、耐えるように繋いでいた猛の手に力を込めた。
猛「A？どうした？？」
A「…ううん。なんでもない。猛ならなれるよ。私よりずっと…ずーっと凄いリベロになれる」
私はあの頃から進んでいない。
もうあそこから立ち止まってしまっているんだから。
A「猛のこと、応援するから」
私に憧れないで。
早く追い越してしまって。
見えなくなるくらいに。
A「ほら、着いたよ。行こっか」
猛「おう！」
明るく笑う猛の手を引き、烏野の校門をくぐった。
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いちご(プロフ) - 杏月さん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年4月13日 22時) (
レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - いちごさん» 遅れましたがなんとか完結致しました・・・！バレーやられてるんですね！私は運動神経悪いんで尊敬します！バレーボール頑張ってください！ (2021年4月11日 21時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続きはありますでしょうか？見つけて1話から見てとっても吸い込まれるように読んで一日で読み終わってしまいました。私もバレーボールをやっていてレシーブが苦手なんですけれど読んだらなんかレシーブが練習したくなりました！大変だとは思いますが更新お願いします (2020年3月14日 0時) (レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - ありささん» コメントありがとうございます！最高だなんて嬉しいです...作者の励みになります！これからも読んで頂けると嬉しいです！ (2019年8月1日 12時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ああぁぁぁー!!!もぅ最っ高です!!!これからも更新頑張ってください!!! (2019年7月31日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2019年7月9日 21時
