【青葉城西】及川さんとこの妹ちゃんは笑わない。2nd

私をみつけて ページ23

岩泉 side


国見「岩泉さん！」

岩泉「国見。Aから連絡あったか？」


スマホを取りに行っていた国見が合流した。
尋ねれば、国見は首をふるふると横に振る。


岩泉「…そうか。一体どこに行ったんだ…？」

国見「……探すしかありませんね。俺、あっち探してきます」


分かった、と頷いて国見と別れる。
国見とは反対方向をしらみ潰しに回ろうとすると、バタバタと走ってくる音がして振り向く。


国見「岩泉さん！」


さっき別れたはずの国見が息を切らして走ってくるなり、スマホの画面を俺の目の前にずいっと突き出した。

…グループ通話。Aからだ。

国見はスピーカーにして音量を最大まであげる。


A『ーーをここに…"ほーー室"にどうしてーーですか…！』


雑音と共に聞こえるAの声。
途切れ途切れで、聞き取れない。

誰かと会話をしている。
切羽詰まった声をしていた。



？？『ーー貸せ！何…電話してんだよ！』

A『っ、やめーーっ、ひっ、』


パシン、と乾いた音がした。
その直後に、小さなAの悲鳴。

ブツンとそこで通話は切られた。
それと同時に自分の中の糸も切れた音が頭に響く。

ーー許さねぇ。

ギリッと奥歯を噛み締め、爪が食い込む程に拳を握った。


国見「A、居場所を言ってましたね…。よく聞き取れなかったんですけど」


国見も頭に血が上る程苛立っているだろうに、冷静になってそう言った。


岩泉「"ほ"…か。保健室…？」

国見「保健室…そうですね。他にどこかありますか？」

及川「ーー放送室…は？」

岩泉「及川っ！」

及川「お待たせ。溝口くんもいるよ」


いつの間にそこにいたのか、及川と溝口コーチが俺らのところにやって来ていた。


及川「溝口くんに話したよ。練習ボイコットしちゃったわけだしね。Aは嫌がるだろうけど…」

溝口「俺も探せばいいのか？」

及川「…うん。保健室と放送室、二人ずつに分かれて見に行こうか」


そうだな、と言いかけたその時、

ピンポンパンポーン、と校内放送のアナウンスが流れた。


『ーー私を…みつけて、』


ザザッと雑音混じりに、声がした。

Aの声。

ーー放送室だ。と及川達と顔を見合わせ頷き、走り出した。

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