【国見英】賽は遥か遠くにぶん投げる 2nd【青城】

どうしようもなく好きだと ページ39

▲▼国見 side


今日も今日とて、面倒臭い。


国見｢付き合えない｣


放課後、部活に向かおうと教室を後にすると、他クラスの女子三人組に即行、廊下で捕まって裏庭に連れて行かれた。

ほら頑張れ。大丈夫いけるよ。
両脇に立つ友達二人に励まされた女子は、真っ赤な顔を俺に向けた。その口から飛び出したのはやっぱり、ありきたりな告白の言葉だった。


女子｢お試しでもいいから…｣

国見｢ごめん。できない｣


食い下がる女子にハッキリと断ると、込み上げてくる涙を吞み込むかのように女子は俯いた。


モブ｢…ねぇ、国見くん冷たくない？｣


俯く女子の肩に手を置きながら、付き添ってきた一人が、俺をきっと睨みつける。すると、もう一人もそれに、そうだよと同調した。


国見｢冷たくしたつもりはないけど｣


俺の言葉に、付き添いの女子二人は眉をひそめ、俺に口撃を食らわせ始めた。

もっと言い方ってもんがあるよね。
モテるからって調子に乗ってない？
お試しぐらいよくない？勇気出して言ったのにさ。
…言いたい放題。中学の時もこんなことがあったなぁ、とうんざりする。


女子｢もういいよ二人とも…！もういい…、国見くんがこんな人だと思わなかった…！｣


悲劇のヒロインぶる女子に怒りの感情なんて湧いてくることはない。
ひたすらにどうでもいい。とにかく解放してほしい。面倒臭い。

思わずため息が漏れそうになったその時、


A｢ーーじゃあ、アンタは？国見を“こんな人”呼ばわりできるくらい出来た人間なの？｣


凛とした声に振り向く前に、目の前に見慣れた背中が俺を庇うように立った。思わず息の止まるような心持ちになる。


A｢国見はさ、アンタに期待持たせて、結局振って、余計に傷つけることをしたくないから断ってるんでしょ。それを寄ってたかって国見に暴言吐くのはおかしくない？冷たくなんてない。こいつなりの優しさでしょ？｣


ああ、と嘆息する。真っ直ぐすぎるAの言葉に胸がいっぱいになって、くらくらとした。高鳴る鼓動が抑えきれない。

…こういうところが、どうしようもなく好きだと思う。


A｢ていうかアンタさ、仮にでも一度好きになった人にその態度はクソすぎ。ていうか両脇二人いる？一人で頑張れなかったの？根性無い、｣

国見｢もういいから｣


興奮して早口になっていくAを止めるように、手を掴んで引っ張る。振り向いたAのその瞳には怒りの色が表れていて、納得のいかない様子だった。

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