【国見英】賽は遥か遠くにぶん投げる 2nd【青城】

誓います ページ21

▲▼国見 side


無駄に長い開会式。
立ちっぱで疲れるし、退屈だし、早く終わってくんないかな、と大きく欠伸をかます。


放送部『ーー続いて、選手宣誓。赤組団長、白組団長は前へお願いします』

朝陽｢あいよぉ！！｣

花巻｢お前バイトのクセで返事すんのやめろ｣


昨日きっちりとリハーサルをしていたのは一体何だったのか、二人はマイペースに生徒会長の立つ朝礼台の前まで歩いて行った。


朝陽『宣誓！私達は、スポーツマンシップよりもただひたすら楽しみ、青春を謳歌し、最高の思い出にすることを誓います！…これを赤組代表、花巻くんに言ってもらいます。どうぞ』

花巻『いやもう全部言ってんじゃん。どうぞじゃねーよ』


漫才のようなやりとりにグラウンド中にどっと笑いが起きる。
はぁ…もういい。やり直しだ。
花巻さんはため息をひとつ落とすと、手を挙げた。


花巻『宣誓。僕達は、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と女子の目を気にしながら、横目で勝てそうな相手がいる時は力いっぱい努力し、勝てない相手が現れたときは仕方ないので適当に手を抜きつつも頑張ってる自分を演出し、モテることを常に意識しながら、戦うことを誓います』

朝陽『違うでしょ。違う違う。…えーっと、宣誓！私達選手一同は、これまでご指導いただいた先生方の厳しいご指導の鬱憤を拳にこめつつ、対戦相手に先生の顔を思い浮かべて、ストレス発散…闘争心のカテにし、正々堂々と戦うことを誓います！』

花巻『それもちげーよ』


先輩ら面白いね。狙ってるって分かっててもウケる。
近くの女子の会話が聞こえてきて、目を細めた。

台本なんかない。あの二人は素でやってる。言わばアホなだけ。


朝陽『よっしゃテメーらいくぞ！！ありとあらゆる筋肉が破壊されても勝ちを取りに行くぞ！！赤組潰せぇ！！』

花巻『こっちは骨が木っ端微塵になるまでやったるわ！！オメーら手段は選ぶな！！白組に跪かせてやれ！！』


士気を上げるアホな先輩二人を目を細めて眺めていると、朝礼台の近く、本部のテントのそばでクスクスと笑っているAを見つけた。
見つめていると、ふと目が合って、ふいと顔ごと目を逸らされる。その拍子に器用に編まれてツインテールにされたAの髪が揺れた。

朝陽先輩とおそろいのその髪型はAに似合っていて、普段よりぐっと女子っぽくて、不覚にも可愛いなんて思ってしまって、胸の内側がそわそわとして落ち着かなかった。

唾つけときゃ治ります→←ハチマキで首絞めてやろうか

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す