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love u... 60 ページ11

しばらくして、
やっと彼女が口を開いた。
…かと思えば、

明らかに嘘とわかる言い訳。


『酔うと涙が出る』
そういう人もいるだろうけど

(絶対彼女の涙は違う。)


ーー今の話、もっかい聞かせて。俺の目を見て。


意地悪だったかも知れない。
少し後悔したけど、
この回答で答え合わせが出来る。


彼女を悲しませてる原因が
俺か、俺じゃないのか。


『…変な癖なんです
 ……すぐ戻りますから。』


そう語気を強めて言う彼女。



あぁ、原因は俺なんだ。


と確信に変わった。



コツコツ、と遠のく足音を聞きながら
俺は椅子にフラフラと座った。

なにか悲しませることを言っただろうか。
…いや、それはない。
経験はそこそこある。全力で楽しませたつもり。



だとしたら?


…松本さん、なんですよね?

…びっくりしちゃって、活躍拝見してます


そうだ。
そういえばこの辺からおかしかった。

細かくはわからないけど、
俺が田中樹だってわかったことが大きな原因だろう。


その後、楽しそうにしてくれてたけど。
もしかしたらそれすらも…




(引こうとしてるのか…?)


自惚れだろうけど、
そのストーリーしか思い浮かばない。


松本を気に入ってくれてたとして、
現れたのが田中樹で。
でも中身もなんも俺のままで、
一般人だと思ってた相手が、芸能人に変わった。

今日会って話して、
もしかしたらもっと気に入ってくれたのかも知れない
でも、相手はSixTONES田中樹。
これ以上関係してはいけないと、自制した。


そう仮説を立てて、
真っ先に思ったのは

[嫌だ]


おれの中で大きくなってる、Aさんの存在。


もう後戻りできないほど
俺は彼女の虜になってる。

SixTONES田中樹としてではなく
1人の人として初めから接してくれて。

なのにたぶん、
俺の仕事を邪魔したくないとか
仕事上NGとされることに関係するわけにいかないと
勝手に身を引こうとする彼女。

仮説ではあるけど
ほぼ確証に近い、彼女の心情。

ますます愛おしく感じる。


[失いたくない]


ハッと、今目の前に
彼女がいないことに焦りを感じた。



荷物もコートも置いてある。

だけどこのまま戻ってこない気がして。



いてもたってもいられず、部屋を飛び出した。



店の奥にあるトイレに向かう。



すれ違った客のオンナが

「エッ?!」

と後ろで言う。


(やべっ…)

勘違いかも知れない。
でも今何も変装してない。


自分を取り巻く環境に
ほんの少し嫌気を感じた。

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設定タグ:田中樹 , SixTONES , 年上   
作品ジャンル:タレント
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作者名:Nagi | 作成日時:2021年2月27日 0時

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