879 ** 2019/6/16** ページ35
Alan side
大学から家に帰ると、リビングにはダイニングテーブルに5、6人分のデザートを並べてそれらを見つめるAがいた。当然、ダークオーラを纏いながら。
Aが落ち込んで帰ってくるなんて日はいつもではないものの割と少なくなくて、俺はそれに直面することがこの家の中でもトップだろう。
ただ今回は、ちょっと違かった。少し、拗ねてるようにも見えた。
顕「なにこれ？」
「・・・、」
黙ったまま、大きなため息を零したAは困った顔して俺を見た。
目が真っ赤で、「泣いたの？」と訊くと彼女は唇を尖らせて頷いた。
悲しんでるというより、
・・・拗ねてる？
顕「どうしたの？」
「・・・はぁ、」
また大きなため息を零すと彼女は俺にチョコケーキを一つ渡して「これあげるから、そこ座ってて」と子供みたいな顔を見せた。
・・・話を聞いて欲しいらしい。
素直に座って、ケーキを食べようとすると彼女は「ねえ、顕嵐・・・サクラちゃんに冷たくされたら、悲しい？」とそう聞いてきた。
顕「そりゃー寂しいでしょ。」
「だよね」
本当悲しいよ。私っていなかった人みたい。
と独り言のように口にした後、彼女は俺を真っ直ぐ見て「じんに、冷たくされちゃった」と零した。
顕「・・・、」
「わかってるって。そんな顔で見ないで」
顕「いや、」
「そう！悪いのは私なの！」
顕「何も言ってないけど」
「・・・私のせいって知ってるよ。知ってるけども」
彼女はまた大きなため息を零した。
顕「ねえ、待って。冷たくされたの？」
「・・・うん、」
マジ？
顕「神宮寺がAに？」
「うん。」
Aのことになると、異常に優しくてどんでもないくらい甘くてどうしようもないくらいAのことが大好きな神宮寺が、Aにそんな態度を取るか？と考えたけど、やっぱり理由なんか見つからなくて。
顕「お腹痛かったんじゃない？」
そう言うと、彼女は俺を睨み「じんはお腹痛い時、あんなクールな顔しないよ！」となぜか俺が怒られた。
「じんはお腹痛くなったらすぐに眉間に皺がよって、眉が下がって、私の話に反応しなくなるの！」
顕「あぁ、そう」
「あれはお腹痛い時のじんじゃなかったもん」
顕「ふーん」
ヤケ食いの原因は、神宮寺に冷たくされたからなのね。と言えばまたため息をついた。
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作者名：愛美
| 作成日時：2019年3月17日 16時
