StLtH11 (ページ28)

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電車の窓から雨が降る街を眺めて「ふぅ・・・」と息を吐くと、どんよりした暗い雲を静かに見つめた。

その日は、気分が優れない1日だった。
なんだかとっても憂鬱で。
何も考えたくなかったんだ。

・・・あれから、みゅうさんには全然会えなかった。

ファッションショーの準備が忙しいらしく、全然顔を合わせていなかった。

だからずっとずっと気持ちが曖昧なまま。
自分の気持ちがどこを向いてるのかも、曖昧で。

こうなったのは、全てあの日のみゅうさんの所為だと。

彼の言葉通り、そう胸に無理やり閉じ込めた。

電車を降りて、傘を差す。

降り止まない雨は、嫌いだ。

また小さく息を吐いて家に向かって歩き出そうとしたら、スマホが音を立てて。

「・・・、誰かな」

コートのポケットからそれを出すと見えた文字は「着信：神宮寺勇太」。

あんまり何も考えずに電話に出ると、そこから聞こえたのはじんの声じゃなくて聞き慣れた別の声だった。

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・

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ーいますぐタルーレに来てよね、2分！

脳内で繰り返されたいわちの声にイラッとしながら「はぁ、」とため息を吐いてタルーレの扉を開けると、平日のこの時間に加えこの天気だからお客さんは殆ど居なくて、じんといわちを探そうと視線を動かしたら真っ先に見えたのは風磨さんの姿。

向かいに座ってるのは、彼女さんかな・・・。
私を見つけて「あ、」と声を零す風磨さんに小さく頭を下げて解釈すると、風磨さんは少し引き攣った笑顔で微笑んだ。

神「A」

再びキョロキョロと視線を動かした私にじんがやってきて「ごめんね」って笑う。
「どこにいるかなって思って電話掛けたんだけどアイツが、」って苦笑いするじん。

「いいよ、今に始まったことじゃないし」

そーだね、って微笑むじんが私の腕を引っ張って奥のテーブルへと私を連れて行くとそこにいたのはいわちだけではなかった。

玄「遅い。5分だったよ」

「・・・、」

神「A？」

「・・・いわち、今日は彼氏たちとランチだったの？」

そこにいたのは、慎太郎くん、顕嵐、そして、宮近くん。

いつの間にかたまに会うようになったってじんが言ってたけど。

こうやってみるとただみんないわちを囲いにきただけにしか見えない。